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ジムの会員アプリは自社で作るか、LINEミニアプリで済ませるか。会員証・予約・お知らせの3つで決める

ジムの会員アプリを自社で作るか、LINEミニアプリ(LIFF)で済ませるかを、会員証・クラス予約・お知らせの3機能ごとに比べます。入館機との連動、ウォレットの会員証、通知の決まり、ストア審査まで作る側の目線で整理します。

この記事の結論:ジムの会員向けの機能は、多くの場合、LINEミニアプリ(LIFFで作るLINEの中のWeb画面)と、スマホのウォレットに入れる会員証の組み合わせで足ります。自社のアプリ(iPhone・Androidのネイティブアプリ)を作るべきなのは、入館の機械とBluetoothなどで直接つなぎたいとき、通信が切れても会員証を出したいとき、トレーニングの記録など毎日開く機能を自社で育てたいときです。判断は、会員証・クラス予約・お知らせの3つの機能を、それぞれどこに置くかで考えると迷いません。どれを選んでも、会員・予約・入館の記録は自社のサーバーに置き、画面だけを入れ替えられるようにしておきます。

この記事の読み手は、ジムやスタジオで会員向けのアプリを検討している運営の方と、その仕組みを作る開発者です。LINEミニアプリそのものの説明や、リッチメニューとの役割の違いは扱いません。ここでは、ジムの3つの機能に絞って、作る側がどこで分かれ道を判断するかを書きます。費用の目安や、どこかのジムの事例は載せていません。仕様の説明は、LINEヤフー・Apple・Googleが公開している資料に沿っています(参照日 2026-10-03)。

ジムの会員アプリを作るか、LINEで済ませるかは「入館」と「毎日開くか」で決まる

自社アプリが必要になるのは、入館の機械と端末を直接つなぐときと、会員が毎日自分から開く機能を持たせるときです。それ以外の、会員証を見せる・クラスを予約する・お知らせを受け取るだけなら、LINEミニアプリとウォレットで十分に組めます。

3つの作り方を、ジムの機能ごとに並べるとこうなります。

機能 LINEミニアプリ ウォレットの会員証(Apple・Google) 自社アプリ
会員証を受付で見せる できる(LINEを開いてから表示) できる(ウォレットから出せる) できる
入館の機械とコードで連動する できる(画面のコードを読ませる) できる(パスのバーコードを読ませる) できる
入館の機械と無線で直接つなぐ 向かない 向かない 向く
通信が切れた場所で会員証を出す 開けないことがある 端末に保存されたパスを出せる 作り方しだいで出せる
クラスを予約・変更する 向く 向かない(表示が中心) 向く
予約の確認や前日の連絡 認証済ミニアプリのサービスメッセージ パスの表示を書き換える プッシュ通知
宣伝やキャンペーンの案内 LINE公式アカウントから配信 向かない 同意を取ったうえでプッシュ通知
ストアの審査 LINEヤフーの審査(認証済にする場合) パスの発行の準備のみ App Store・Google Playの審査

表のとおり、ネイティブアプリでしか実現しにくいのは、無線で入館の機械とつなぐことくらいです。トレーニングの記録や食事の記録のように、会員が毎日開く機能を自社で育てたい場合は、アプリを持つ意味が出てきます。そうでなければ、まずはLINEミニアプリとウォレットで組み、足りないことがはっきりしてから自社アプリを考えるほうが、後から作り替える量を抑えられます。

会員証:受付で見せるだけか、入館の機械と連動するかで作り方が分かれる

会員証は、スタッフが目で確かめるだけならどの作り方でも足ります。入館の機械に読ませる場合は、コードを使い回されない工夫と、電波の弱い場所での出し方を先に決めておきます。

無人の時間帯があるなら、コードを変えられる置き場所を選ぶ

会員証で入館の機械を通すなら、画面を撮った写真で他人が入れないよう、表示するコードを短い間隔で変えられるかが選ぶときの分かれ目になります。LINEミニアプリと自社アプリは、サーバーで作ったコードをその都度表示できます。ウォレットの会員証では、Googleウォレットの汎用パスにAPIでバーコードを回転させる仕組みがあります(Google Wallet 汎用パスの説明を参照)。入館の機械の側の仕様と、契約の状態での入館の可否の判定は、会員証をどこに置くかとは別に設計します。

電波の弱い更衣室や地下のフロアで、会員証を出せるか

地下のジムや、建物の奥の更衣室では、通信がつながりにくいことがあります。LINEミニアプリはWebの画面なので、通信がないと開けない場合があります。入口が電波の届きにくい場所にあるなら、端末に保存されるウォレットのパスを併用すると、受付で会員証が出ないという場面を減らせます。

Appleのウォレットは、店舗が発行する会員カードやポイントカードを追加でき、ジムの会員証のような用途も想定されています(出典:Apple Developer:ウォレット)。パスの表示は後から更新できるので、会員の区分や有効期限が変わったときも、配り直さずに済みます。

予約:クラスの予約はLINEミニアプリで足りることが多い

クラスやパーソナルの予約は、毎回同じ会員が同じ手順で使う操作なので、LINEミニアプリにいちばん向いています。ストアからアプリを入れてもらう手間がなく、トーク画面のメニューから予約の画面へそのまま進めます。

作る側として決めておくことは3つです。

  1. 予約の記録は自社のサーバーに置く:ミニアプリは画面だけにして、空き枠・予約・キャンセルの記録は予約の仕組みの側で持つ
  2. LINEのユーザーIDと会員番号を結びつける表を持つ:入会の手続きの最後に一度だけ結びつけ、以後は同じ会員として扱う
  3. 予約の確認や前日の連絡をどこから送るか決める:認証済ミニアプリなら、サービスメッセージで送れる

サービスメッセージは、予約の完了や前日の案内のように、会員がミニアプリで行った操作に対する連絡を送るための機能です。使えるのは認証済のミニアプリだけで、1回の操作につき5通まで、発行から1年間送れます。値下げやクーポン、キャンペーンなどの宣伝には使えません(LINEの開発者向け資料のサービスメッセージのページより)。

ジムに当てはめると、たとえば次のように分けられます。

送りたい連絡 送る手段
クラスの予約が取れた サービスメッセージ
前日のリマインド サービスメッセージ(同じ予約の操作に続く連絡として)
休講になった サービスメッセージ、またはLINE公式アカウントからの個別の連絡
新しいクラスの開講、入会キャンペーン LINE公式アカウントからの配信

体験の予約をLINEで受けて入会までつなぐ流れは、体験予約をLINEで受けて入会につなげる記事に書いています。この記事の予約は、入会した後の会員がクラスを取る場面のことです。

お知らせ:LINEは配信の通数を、自社アプリは通知の同意を先に設計する

会員への連絡は、LINE公式アカウントなら配信した通数が料金のプランにかかわり、自社アプリならプッシュ通知の同意の取り方が審査の決まりになっています。どちらも、何を誰に送るかを決めてから作ります。

LINE公式アカウントは、数えられる配信と数えられない返信を分ける

LINE公式アカウントの料金プランでは、月ごとに送れるメッセージの通数が決まっています。一斉配信や絞り込み配信、Messaging APIで会員ごとに送るプッシュは通数に数えられます。一方で、応答メッセージ、あいさつメッセージ、チャットのやりとり、会員からの話しかけに返す Reply API は数えられません(LINEヤフーの法人向けサイトの料金プランのページより)。

ジムのお知らせは、全員に同じ文面を送るより、所属の店舗や受けているクラスで絞るほうが、読まれやすく通数も無駄になりません。そのためにも、会員の店舗やクラスの情報を、LINEのユーザーIDと結びつけて自社の側に持っておきます。

自社アプリのプッシュ通知は、宣伝に使うなら同意の画面が要る

Appleの審査ガイドライン4.5.4では、プッシュ通知をキャンペーンやダイレクトマーケティングに使うには、アプリの画面で会員がはっきりと同意でき、アプリの中で止められるようにしておくことが求められています(出典:App Store Reviewガイドライン)。予約の確認のような連絡と、キャンペーンの案内とで、通知の種類と同意を分けて持つ設計にしておきます。

自社アプリにするなら、ストアの審査と作った後の手間を先に見込む

自社アプリは、ストアの審査を通すための作り込みと、OSの更新に合わせた手直しが続きます。会員向けの機能がWebで作れる範囲に収まるなら、その手間に見合うかを先に考えます。

ジムのアプリでつまずきやすい審査の決まりは、次の3つです。

決まり 内容 ジムのアプリで気をつけること
最低限の機能(4.2) Webサイトを包んだだけのアプリは承認されないことがある 予約のページを表示するだけのアプリにしない
アプリの外で使うサービスの支払い(3.1.3(e)) アプリの外で受けるサービスの代金は、アプリ内課金以外の方法で払う 会費やパーソナルの料金は、クレジットカードなどの決済で受ける
アカウントの削除 アカウントを作れるアプリは、アプリの中から削除を始められるようにする 退会の手続きと、アプリのアカウントの削除の関係を決めておく

アカウントの削除については、Appleの開発者向けのサポートページで、2022年6月30日からアカウント作成に対応したアプリに求められていると説明されています(出典:アプリ内でのアカウント削除機能の提供)。ジムの場合、アプリのアカウントを消すことと、月会費の契約を解約することは別の手続きです。アカウントを消す画面で、契約の解約は別の手続きが要ることを案内しておかないと、会費の請求だけが続くという行き違いが起きます。

判断の手順:3つの機能を1行ずつ書き出す

迷ったら、会員証・予約・お知らせの3つについて、「どこで」「何回」「何とつなぐか」を1行ずつ書き出します。それで自社アプリが要るかどうかは、ほぼ決まります。

  1. 会員証:受付で見せるだけか、入館の機械に読ませるか。無人の時間帯はあるか。入口の電波は届くか
  2. 予約:クラス、パーソナル、設備の予約のどれを扱うか。変更やキャンセルをどこまで会員にさせるか
  3. お知らせ:予約に続く連絡と、宣伝の案内を、それぞれ月に何通くらい送りたいか
  4. 毎日開く機能:トレーニングや食事の記録のように、会員が毎日開く機能を自社で持ちたいか
  5. 記録の置き場所:会員・予約・入館の記録を、画面とは別に自社のサーバーに置けるか

1〜3がLINEミニアプリとウォレットで収まり、4がなければ、自社アプリは後回しで構いません。4がある、または入館の機械と無線でつなぐ必要があるなら、自社アプリを考えます。どちらの場合も5を先に整えておくと、画面の作り方を後から変えても、会員の記録はそのまま使えます。

株式会社bundlyzeでは予約管理システムを、特定の業種に絞らない形で企画し、運用に入った後まで開発してきました。LINE公式アカウントとつながる連携の仕組みも自前で作っています。会員証や予約の画面をLINEに置くか、自社アプリにするかを、入館や決済の仕組みとあわせて決めたい場合は、システム開発のご案内からご相談いただけます。

調べた資料と確認した日

2026年10月3日に、いずれも中身を読んでいます。

画面の名前や審査の条件は変わることがあります。作り始める前に、それぞれの最新の資料を開いて確かめてください。

よくある質問

24時間営業のジムの会員証も、LINEミニアプリで作れますか?

画面に入館用のコードを出すこと自体はできます。気をつけたいのは、無人の時間帯に画面の写真を他人に渡して入られることです。コードを短い間隔で変える、入館の記録と予約の記録を突き合わせる、といった対策を入館の機械の側と一緒に決めておきます。

ジムの月会費をアプリの中で払ってもらうと、アプリストアの手数料はかかりますか?

Appleの審査ガイドラインでは、アプリの外で使うサービスの支払いは、アプリ内課金以外の方法(クレジットカードなど)を使う決まりになっています。ジムの会費は施設で受けるサービスなので、この扱いに当たると考えられます。審査の判断は個別に行われるため、作る前に最新のガイドラインを確かめてください。

最初はLINEミニアプリで始めて、後から自社アプリに移せますか?

会員・予約・入館の記録を自社のサーバーに置いておけば、画面だけを作り替える形で移せます。LINEのユーザーIDと自社の会員番号を結びつける表を最初から持っておくと、移った後も同じ会員として扱えます。