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24時間ジム・無人ジムの入退館の仕組み。QRコードとスマートロック、会員の契約状態との連動、防犯カメラ映像の個人情報の扱い

24時間ジムや無人ジムの入退館の仕組みを、作る側の目線で分解します。QRコードやスマートロックの選び方、休会・未払い・退会など会員の契約状態との連動、通信が切れたときの動き、入館記録と防犯カメラ映像の個人情報の扱いまで。

この記事の結論:24時間ジムや無人ジムの入退館の仕組みは、「本人確認」「入ってよいかの判定」「解錠」「記録」の4つの役割に分けて作ると、選ぶ機器が変わっても全体が崩れません。入館の手段にQRコードを使うなら、写した画像を使い回されないように、短い時間で変わるコードをサーバーで照合します。入ってよいかの判定は、休会・支払いの失敗・退会といった会員の契約状態から、1か所で行います。通信が切れたときと停電のときの動きを先に決め、入館の記録と防犯カメラの映像は、個人情報として、見る人と残す期間を決めて扱います。

無人の時間帯を持つジムやスタジオの運営者、開業を準備している方、入退館の機器と会員管理をつなぐエンジニアに向けて書きました。製品の比較や価格、導入の事例は載せていません。映像や記録の扱いは、個人情報保護委員会が示している考え方を整理したもので、個々のお店の運用が法的に問題ないかまでは判断していません。

24時間ジムの入退館の仕組みは、4つの役割に分けて考える

無人の時間帯がある24時間ジムの入退館は、スタッフが目で確かめていた仕事を、仕組みに置き換えることです。置き換える仕事は「本人確認」「入ってよいかの判定」「解錠」「記録」の4つに分けられます。

役割 スタッフがいたときの形 仕組みでの形
本人確認 会員証と顔を見る QRコード、ICカード、暗証番号、顔認証などで、誰が来たかを特定する
入ってよいかの判定 会員の名簿を見て、有効な会員かを確かめる 会員管理のシステムで、契約の状態と利用できる時間帯から判定する
解錠 扉を開けて通す スマートロックや電気錠が、判定の結果を受けて開く
記録 受付の名簿に書く 誰が、いつ、どの扉を通ったかを保存する

この4つを分けておくのは、入れ替えやすくするためです。たとえば、QRコードからICカードに変えるときは本人確認の部分だけ、扉の機器を替えるときは解錠の部分だけを直せば済みます。逆に、扉の機器の中に会員の名簿と判定のルールを抱え込ませると、休会や退会の反映を機器ごとに行うことになり、反映の漏れが起きやすくなります。

入館の手段は、守りやすさと会員の手間を比べて選ぶ

入館の手段には、QRコード、ICカード、暗証番号、顔認証などがあり、それぞれ使い回しへの強さと、会員の手間、運営の手間が違います。どれか1つに決めるより、主な手段と、それが使えないときの予備の手段を組み合わせて考えます。

手段 会員の手間 使い回しへの強さ 運営の手間・注意
固定のQRコード スマホで表示するだけ 弱い。写した画像でも通れる 安く始められるが、使い回しの対策が別に要る
時間で変わるQRコード アプリや会員ページで表示する 写した画像はすぐ使えなくなる 表示のための会員ページかアプリが要る
ICカード・タグ かざすだけ カードの貸し借りはできてしまう 発行・紛失・再発行の手順が要る
暗証番号 番号を覚える 番号を教えれば誰でも入れる 定期的な変更の運用が要る
顔認証 何も持たなくてよい 本人以外は通りにくい 顔の特徴のデータは個人情報として扱いが重くなる(後の節)

スマホを持たずにトレーニングに来る会員もいるので、QRコードを主にするなら、ICカードや暗証番号のような予備の手段を、会員の申し出で使えるようにしておくと、入れない会員からの問い合わせが減ります。

QRコードは、写した画像を使い回せないよう短い時間で変える

QRコードで入館させるなら、いつも同じコードではなく、短い時間で変わるコードを表示し、読み取ったコードはサーバーで照合します。固定のコードは、スクリーンショットを友人に送るだけで、そのまま入館に使えてしまうからです。

時間で変わるコードの考え方は、ワンタイムパスワードの仕組み(RFC 6238 で決められた、時刻をもとに短時間だけ有効な値を作る方式)と同じです。会員ごとの秘密の値と現在の時刻からコードを作り、読み取った側でも同じ計算をして一致を確かめます。

作るときは、次の点を押さえます。

  • 有効な時間を短くする。 表示してから扉の前で読み取るまでの時間に足りる長さにとどめる
  • 同じコードの2回目を断る。 一度入館に使ったコードは、有効な時間の中でも再び使えないようにする
  • 判定はサーバーで行う。 会員の画面の側で「入館OK」と表示させる作りにせず、扉の読み取り機からサーバーに問い合わせる
  • 入館の記録と退館の記録をそろえる。 入ったまま出た記録のない会員が、別の場所で同時に入館しようとしたら、スタッフに知らせる

1人の入館で扉が開いている間に、もう1人が続けて入る「共連れ」は、コードの工夫だけでは防げません。扉の構造(1人ずつしか通れないゲートなど)や、入館の記録とカメラの映像の照らし合わせといった、別の手段と組み合わせて考えます。

入ってよいかは、会員の契約状態と時間帯から1か所で判定する

入館の判定は、扉の機器ではなく、会員管理のシステムの1か所で、会員の契約状態と利用できる時間帯から決めます。判定のルールが1か所にあれば、休会や退会がその場で入館に反映されます。

契約の状態 入館の扱いの例 決めておくこと
有効 入館できる 利用できる時間帯(全日・平日の昼だけなど)のプランごとの違い
支払いに失敗している 一定の期間は入館できる、その後は止める 何日まで入館を認めるか、その間に会員に何を知らせるか
休会中 入館できない 休会の期間の始まりと終わりの日付
退会の申し出済み(最終月の利用中) 最終日まで入館できる 最終日の判定を日付の境目のどこで切るか
退会済み 入館できない 入館の手段(カード・コード)の無効化
体験の利用者 予約した日時の前後だけ入館できる 前後に何分の幅を持たせるか

支払いの失敗をすぐに入館の停止につなげると、カードの更新が遅れただけの会員が、夜中に扉の前で入れなくなります。止める前に知らせる期間を置き、その間に支払い方法を直せる画面を案内しておくと、会員とのもめごとを減らせます。

判定の結果は、扉の機器に「開けてよい/いけない」だけを返します。理由(未払い、休会など)を扉の画面に出すと、後ろに並んだ人にも見えてしまうので、理由は会員本人のスマホにだけ知らせます。

通信が切れたときと停電のときの動きを、導入の前に決める

入館の判定をサーバーで行う作りでは、インターネットが切れたときに会員が入れなくなるおそれがあります。導入の前に、通信が切れたとき、停電のとき、非常のときに、扉がどう動くかを決めておきます。

場面 起きること 決めておくこと
通信が切れた サーバーに問い合わせられない 扉の側に、入館してよい会員の一覧を一定時間分だけ持たせるか。一覧の更新の間隔
停電 電気錠やスマートロックの動きが変わる 電池の残量の知らせ方、停電中に開いたままにするか閉じたままにするか
中に人がいるときの非常時 外に出られる必要がある 内側からは、鍵やスマホなしで開けられるか
会員が締め出された 夜間に連絡先が必要 扉の前に掲示する連絡先と、遠隔で開ける手順

扉の側に会員の一覧を持たせる場合、その一覧には入館の判定に要る最小限の情報だけを入れ、氏名や連絡先は入れないようにします。機器が盗まれたり壊されたりしたときに、外に出る情報を減らすためです。

非常時に内側から出られるかどうかは、扉や建物の条件によって守るべき決まりが変わります。扉の機器を選ぶ前に、建物の管理者や施工の業者、必要に応じて所轄の消防署に確かめてください。

入退館の記録は、使い道と見る人を決めてから残す

入退館の記録は、誰がいつ来たかが分かる情報なので、会員の個人情報として扱います。記録を何に使うかを先に決め、利用目的として規約やプライバシーポリシーに書いておきます。

使い道 必要な項目 見る人
防犯・事故のときの確認 会員、日時、扉 管理者
混雑の表示 今いる人数(個人は不要) 会員全員(人数だけ)
利用の状況に応じた案内 会員ごとの来館の日時 担当のスタッフ
不正な入館の発見 入館と退館の組み合わせ 管理者

混雑の表示のように、人数だけ分かれば足りる使い道では、個人を特定できる形の記録を渡さず、数だけを取り出して使います。来館の記録を、通う間隔が空いてきた会員への声かけに使う場合の考え方は、退会防止に来館の記録を使う記事にまとめています。

記録をいつまで残すかも決めます。古い記録を残し続けるほど、漏えいしたときの影響が大きくなるので、使い道に必要な期間を過ぎたものは消す、または個人が分からない集計の形に変える、という処理を定期的に動かします。

防犯カメラの映像も個人情報。掲示と、見る人と、残す期間を決める

無人の時間帯の防犯カメラは欠かせませんが、特定の個人を見分けられる映像は個人情報に当たります。設置の前に、掲示、利用目的、映像を見られる人、残す期間を決めておきます。

個人情報保護委員会のQ&A(Q1-13)では、従来型の防犯カメラ(撮った画像から顔の特徴のデータを取り出さないもの)について、次のような考え方が示されています。

  • 利用目的をできる限り特定し、その範囲で画像を使う
  • 防犯目的であることがカメラの設置の状況から明らかな場合は、利用目的の通知・公表は不要と考えられる
  • カメラで個人情報が取られることを本人が容易に分からない場合は、分かるようにする措置が必要で、例として入口や設置場所への「防犯カメラ作動中」の掲示が挙げられている
  • 外から見て明らかな場合でも、掲示などでより分かりやすくすることが望ましい

運用の側で決めておきたいのは、次の表の項目です。

決めること 考え方
映す場所 出入口、器具のエリアなど防犯に必要な場所に絞る。更衣室やシャワーのように、着替えなどで体が見える場所は映さない
掲示 入口と設置場所に、カメラが作動していることを掲示する
見られる人 映像を見られるスタッフを決め、見たときの記録を残す
残す期間 上書きされるまでの期間を決め、事故などで必要な映像だけを別に保存する手順を作る
外への提供 映像の提供を求められたときに、誰が判断し、何を記録するかを決める

顔の特徴のデータを取り出す顔識別の機能が付いたカメラを使う場合は、従来型のカメラの留意点に加えて、さらに気をつけることがあるとQ&A(Q1-14)で示されています。顔認証で入館させる仕組みや、顔識別の機能を持つカメラを検討するときは、このQ&Aと、個人情報保護委員会がまとめた顔識別機能付きカメラシステムの資料に目を通したうえで、専門家に相談してください。

導入の前に確かめる項目

入退館の仕組みを入れる前に、次の項目を一つずつ確かめます。機器を先に決めてしまうと、会員管理とのつなぎ方や、通信が切れたときの動きを後から変えられないことがあります。

  1. 4つの役割のどれを、どの機器・システムが受け持つかを書き出す
  2. 入館の手段と予備の手段を決め、スマホを持たない会員の入り方を決める
  3. 契約の状態ごとの入館の扱いを表にし、会員管理のシステムで判定できるかを確かめる
  4. 通信が切れたとき、停電のとき、非常のときの扉の動きを確かめる
  5. 入退館の記録の使い道、見る人、残す期間を決め、利用目的を規約に書く
  6. 防犯カメラの映す場所と掲示、映像を見られる人と残す期間を決める

会員の契約状態を扉の判定に渡す部分は、機器の選定より先に設計しておきたいところです。

株式会社bundlyzeでは、扉の機器と会員管理の間をつなぐような設計のご相談もお受けできます。その土台には、業種を限らない予約管理の仕組みを企画・開発・運用まで手がけてきた経験があります。入退館と会員の契約状態を連携させる開発を検討しているなら、予約・会員管理まわりのシステム開発の説明が参考になります。

出典

参照した資料と確認日(2026年10月3日)は次のとおりです。Q&Aは追加や改訂が入ることがあるため、掲示や保存期間を決める際にはリンク先の現行版を確認してください。

よくある質問

QRコードの入館は、スクリーンショットを友人に渡されると入られてしまいませんか?

いつも同じQRコードを表示する作りだと、その心配があります。会員のアプリや画面に、短い時間で変わるコードを表示し、読み取ったコードをサーバーで照合して、同じコードの2回目の利用を断る作りにすると、写した画像の使い回しを防ぎやすくなります。あわせて、入館の記録とカメラの映像を、日時で突き合わせられる作りにします。

インターネットが切れたら、会員は入れなくなりますか?

作り方次第です。扉の側の機器が、入館してよい会員の一覧を一定時間分だけ手元に持つ作りにしておけば、通信が切れても、その一覧の範囲で入館を続けられます。どこまで手元の一覧で判定させるか、一覧をどのくらいの間隔で更新するかを、導入の前に決めておきます。

ジムに防犯カメラを付けたら、そのことを掲示しないといけませんか?

個人情報保護委員会が公開しているQ&Aによると、防犯目的であることがカメラの設置の状況から明らかな場合は、利用目的の通知・公表は不要と考えられるとされています。一方で、カメラで個人情報が取られることを本人が容易に分からない場合は、分かるようにする措置が必要で、入口や設置場所に「防犯カメラ作動中」と掲示する例が示されています。外観から分かる場合も、掲示でより分かりやすくするのが望ましい、という立場です。