この記事の結論:結婚式場で、フェア予約が減ったと感じたときは、「本当に減ったのか」を確かめてから、どこで減ったかを外側から順に切り分けます。最初に予約の台帳とGA4の予約数を比べて計測の故障を外し、次にGA4のチャネルで検索・ポータル・SNS・広告のどの経路が減ったかを分けます。検索が減っていればSearch Console(サーチコンソール)を開き、表示回数とクリック数のどちらが減ったかを見て、ポータルやSNS、広告が減っていれば参照元とリンクの行き先を確かめます。どの経路も減っていないのに予約が減っていれば、フェアの一覧から予約フォームの送信までのどこで人が離れているかを、スマホとパソコンに分けて見ます。
この記事は、式場のWeb担当や営業の責任者、式場のサイトを預かる制作会社や運用の担当の方を読み手に想定しています。GA4とサーチコンソールの初期設定は済んでいる前提で、減ったときに見る画面の順番に絞りました。計測そのものの組み方は、GA4とCRMを使ったフェア予約〜成約の計測にまとめました。個別の式場の事例や、減り幅の目安は載せていません。
結婚式場のフェア予約が減ったときは、まず計測の故障と季節の動きを外す
フェア予約が減ったように見えたら、最初に「計測が壊れていないか」と「例年どおりの季節の動きではないか」を確かめます。この2つを外さないまま原因を探すと、実際には減っていない数字のために、サイトや投稿を直してしまうことがあります。
確かめるのは次の3点です。
| 確かめること |
見る場所 |
計測の故障や季節を疑う形 |
| 予約の台帳とGA4の数が同じ向きに動いているか |
式場の予約台帳(メールで届いた予約の件数でもよい)と、GA4のフェア予約のキーイベントの数 |
台帳は減っていないのにGA4だけが減っている |
| 減り始めた日に、サイトに変更がなかったか |
制作会社の更新の記録、タグの管理画面の公開の履歴、CMSの更新日 |
減り始めた日と、フォームやタグの変更の日が重なる |
| 前の年の同じ時期も同じように減っていたか |
GA4とサーチコンソールで期間を前の年の同じ月にそろえた数字 |
前の年も同じ時期に同じくらい減っている |
台帳は減っていないのにGA4だけが減っているなら、予約の送信を数える設定が外れている可能性が高いので、原因の切り分けより先に計測を直します。GoogleのSearch Centralの説明でも、検索からの流入が減ったときは、前の年の同じ時期と比べて季節や需要の変化を確かめる見方が挙げられています。
切り分けは、経路→検索の見え方→外の要因→サイト内の離脱の順に進める
原因の切り分けは、サイトの外側から内側へ進めると迷いません。どの経路で減ったかが分かれば、見るべき画面と、相談すべき相手(ポータルの担当、SNSの運用の担当、広告の運用の担当、制作会社)が決まるからです。
全体の順番を一つの表にしておきます。
| 順番 |
確かめること |
使う画面 |
次に進む条件 |
| 1 |
計測の故障と季節の動き |
予約の台帳、GA4、変更の記録 |
実際に予約が減っていると確かめられた |
| 2 |
どの経路の訪問と予約が減ったか |
GA4の「トラフィック獲得」をチャネルで分けた表 |
減った経路が一つか二つに絞れた |
| 3 |
検索なら、表示とクリックのどちらが減ったか |
サーチコンソール(検索パフォーマンスのレポート) |
減った検索語やページが分かった |
| 4 |
ポータル・SNS・広告なら、送客の側で何が変わったか |
GA4の参照元、UTMの値、各サービスの管理画面 |
送客の側の変化が分かった |
| 5 |
訪問は減っていないなら、サイトのどこで離れたか |
GA4のページ別の表と、探索のファネル |
離れている段とデバイスが分かった |
一度に全部の画面を開くより、表の上から一つずつ確かめ、分かったことを一行ずつ書き残しながら進めるほうが、あとで打ち合わせに持っていきやすくなります。
手順1:GA4のチャネルで、どの経路の訪問と予約が減ったかを分ける
どの経路で減ったかは、GA4の「トラフィック獲得」の表を、デフォルトのチャネルグループで分けて見ると分かります。訪問の数とフェア予約のキーイベントの数を、前の年の同じ期間と並べ、減り方の大きい経路から順に調べます。
GA4のチャネルの名前と、式場の集客の経路はおおむね次のように対応します。チャネルの定義はアナリティクスのヘルプに載っていて、たとえばオーガニック検索は検索結果の広告以外のリンクから来た訪問、参照は広告ではないほかのサイトのリンクから来た訪問と説明されています。
| GA4のチャネル |
式場の経路で当たるもの |
減っていたら次に見るところ |
| オーガニック検索 |
式場名やエリア名での検索、AIによる概要からの訪問 |
サーチコンソールで検索の数字を見る(手順2) |
| 参照 |
婚礼ポータル、比較サイト、ホテルの本体のサイト、提携先のサイト |
参照元ごとの内訳(手順3) |
| オーガニック ソーシャル、オーガニック動画 |
Instagram、Facebook、YouTube、TikTokの投稿やプロフィールのリンク |
UTMの値と、投稿の頻度や内容の変化(手順4) |
| 有料検索、有料ソーシャル |
検索広告、SNSの広告 |
広告の配信の状態と、リンクの行き先(手順4) |
| 直接 |
ブックマーク、URLの手入力、計測用のパラメータが付いていないリンク |
どこかの経路のUTMが外れていないか |
「直接」が増えて、ほかの経路が減っているときは、どこかのリンクから計測用のパラメータが外れた可能性があります。経路が減ったのではなく、数え先が移っただけのこともあるので、手順4でリンクを点検します。
手順2:検索経由で減っていたら、クリック数と表示回数のどちらが落ちたかをSearch Console(検索の管理画面)で見る
オーガニック検索が減っていた時は、サーチコンソールの「検索パフォーマンス」レポートで、表示回数とクリック数のどちらが減ったかを先に見ます。表示回数が減っているなら検索結果に出る機会が減っており、表示回数は変わらずクリック数だけが減っているなら、検索結果での見え方に原因がある、と分けられます。
サーチコンソールのヘルプでは、クリック数・表示回数・クリック率・平均掲載順位の4つを見られると説明されています。式場の場合は、検索語を「式場名を含む検索」と「エリア名や条件の検索」に分けて見ると、原因の当たりが付けやすくなります。
| 減り方 |
式場名を含む検索で起きていたら |
エリア名や条件の検索で起きていたら |
| 表示回数もクリック数も減った |
式場そのものを探す人が減っている。ポータルやSNSでの露出、季節の動きを確かめる |
掲載順位が下がった、または探す人が減った。平均掲載順位と、前の年の同じ時期を確かめる |
| 表示回数は同じで、クリック数だけ減った |
検索結果で、ポータルや地図など別の入口が選ばれている |
タイトルや説明文が、探している内容に合っていない |
| 特定のページだけ減った |
式場名で出るページが別のページに替わった |
フェアや会場のページが検索結果から外れていないか、インデックスの状態を確かめる |
Google 検索セントラルのページでは、検索からの流入が減る原因として、アルゴリズムの更新、技術的な問題、セキュリティの問題、スパムに関するポリシーへの違反、季節や需要の変化が挙げられています。サイト全体で減ったのか、一部のページだけで減ったのかを分け、サーチコンソールの「セキュリティの問題」と「手動による対策」のレポートも開いて、何も出ていないことを確かめておきます。
GA4とサーチコンソールを連携させておけば、GA4の画面の中でも、検索語やランディングページごとに検索結果の表示やクリックを確かめられます。連携には、GA4の編集者の役割と、サーチコンソールの確認済みの所有者の権限が要るので、権限を持っている人に頼みます。
手順3:ポータルからの送客が減っていたら、参照元と掲載の中身の両方を確かめる
参照のチャネルが減っていたら、参照元をサイトごとに分けて、どのポータルやサイトからの訪問が減ったかを特定します。そのうえで、ポータル側の掲載の中身や、ポータルから自社サイトへのリンクの行き先が変わっていないかを確かめます。
婚礼ポータルからの経路は、ポータルの中で予約が完結するものと、自社サイトへ送られてくるものが混ざっています。GA4で見えるのは自社サイトに来た分だけなので、ポータルの管理画面に出る予約の数と分けて考えます。
確かめる点は次のとおりです。
- リンクの行き先が切れていないか。 サイトのリニューアルでURLが変わり、ポータルからのリンクが古いページや存在しないページに向いていないか
- 掲載の内容が古くなっていないか。 フェアの日程や特典が、ポータルと自社サイトで食い違っていないか
- ポータル内で予約が完結する設定になっていないか。 自社サイトへのリンクが減ったのか、ポータル内の予約が増えたのかを、ポータルの管理画面の数字と並べて見る
ポータルの管理画面の数字は式場側にしか見えないことが多いので、Webの担当と営業の担当が同じ表に数字を持ち寄って比べます。
手順4:SNSと広告で減っていたら、リンクの行き先とUTMの値から確かめる
オーガニック ソーシャル、オーガニック動画、有料のチャネルが減っていたら、まずリンクの行き先と計測用のパラメータ(UTM)が正しいかを確かめます。投稿や広告の中身を疑う前に、リンクが予約画面に届いているか、数え先がずれていないかを見るのが先です。
| 確かめる点 |
見る場所 |
よくある原因 |
| プロフィールや広告のリンクの行き先 |
スマホで各アプリを開き、リンクを押して予約の送信まで進める |
終わったフェアのページや、トップページに送っている |
| UTMの値の表記 |
GA4の参照元とメディアの表 |
大文字と小文字が混ざり、同じ経路が別々に数えられている |
| 投稿や配信が止まっていないか |
各サービスの管理画面 |
担当の交代や、広告の予算の上限で配信が止まっている |
| 計測用のパラメータが外れていないか |
リンクを書き換えた日と、「直接」が増えた日 |
リンクを差し替えたときにパラメータを付け忘れた |
UTMの値は大文字か小文字かで別の値として扱われる、とGA4のヘルプにあり、そろえるなら小文字が標準とされています。同じInstagramからの訪問が「instagram」と「Instagram」に分かれていると、片方だけを見て減ったと思い込むことがあるので、値の一覧を作っておきます。
広告は、検索やSNSと並ぶ経路の一つとして見ます。広告の経路だけが減っていたら、配信の状態や予算の設定を運用の担当に確かめてもらい、ほかの経路と同じ表で比べます。
手順5:訪問は減っていないのに予約が減ったら、予約フォームの手前から順に離脱を見る
どの経路の訪問も減っていないのにフェア予約が減っていたら、原因はサイトの中にあります。フェアの一覧、フェアの詳細、予約フォームを開く、送信を終える、という段に分け、どの段で人が離れているかを、スマホとパソコンに分けて確かめます。
GA4では、探索の「ファネル データ探索」を使うと、段ごとの人数と離れた人数を並べて見られます。段の区切り方の例は次のとおりです。
| 段 |
数えるもの |
離れていたら疑うところ |
| フェアの一覧を見た |
一覧ページの表示 |
一覧に満席や終了のフェアばかりが並んでいる |
| フェアの詳細を見た |
詳細ページの表示 |
一覧から詳細へのリンクが分かりにくい、詳細の読み込みが遅い |
| 予約フォームを開いた |
フォームのページの表示、または日程の選択 |
選べる日程がない、特典の条件が分かりにくい |
| 送信を終えた |
予約完了のキーイベント |
入力の途中でエラーが出る、スマホのキーボードで入力しにくい、送信ボタンが押せない |
スマホだけで送信を終えた数が減っていたら、まず手元のスマホで実際に予約フォームを開き、最後まで送れるかを試します。ブラウザの更新や、フォームの部品の差し替えのあとに、特定の機種や画面の大きさだけで送信ボタンが押せなくなっていることがあるからです。フォームをスマホで最後まで届けるための細かな確かめ方は省き、ここでは段の分け方だけを示しました。
原因が一つに決まらないときは、変更の記録と数字を並べて残す
切り分けても原因が一つに決まらないことはよくあります。その場合は、減り始めた時期の前後で起きたこと(サイトの更新、フェアの企画の変更、ポータルの掲載の変更、SNSの担当の交代、広告の設定の変更)を一つの表に並べ、数字の動きと重ねて残しておきます。
| 日付 |
起きたこと |
担当 |
その後の数字の動き |
| 記入例:ある月の第1週 |
フェアの詳細ページのデザインを変更 |
制作会社 |
スマホで予約フォームを開いた数を翌週に確認 |
| 記入例:同じ月の第2週 |
ポータルの特典の表記を変更 |
営業 |
参照元の訪問を翌月に確認 |
この記録があると、次に予約が減ったときに同じ順番で切り分けられ、前回と同じ原因かどうかもすぐ分かります。記録は式場の共有フォルダに置き、Webの担当が替わっても読めるようにしておきます。
株式会社bundlyzeでは数字が落ちたときの切り分けを含め、Webの責任者を社外から務める形で、計測の点検、原因の見立て、手直しの手配までを引き受けています。毎月の切り分けを任せる場合の範囲は、WEB戦略代行のご案内に書いています。
出典
以下の資料の記載は、2026年10月3日に照らし合わせました。画面の名前や項目は変わることがあるので、操作の前に開き直してください。