フィットネス・健康

整体院・接骨院・リラクゼーションサロンの予約と問診票をWeb化する設計。施術者の指名、初診の問診、健康情報の扱い

整体院・接骨院・リラクゼーションサロンで、予約と問診票をWeb化するときの設計です。施術者の指名の受け方、初診の長い枠、来店前に答えてもらう問診票、要配慮個人情報としての同意と見られる人の絞り方を整理します。

この記事の結論:整体院・接骨院・リラクゼーションサロンの予約と問診票をWeb化するときは、予約の記録と問診の記録を別の場所に持つことから設計します。予約は「施術者・ベッドや個室・メニューの時間」の3つが同時に空いている枠で受け、施術者の指名は「指名する・指名しない・前回と同じ人」の3通りで出し分けます。初診は問診と説明の時間を足した長い枠にします。問診票は予約が確定した後に専用のリンクで送り、既往歴や服薬のような健康に関わる答えは、要配慮個人情報として利用目的を示して同意を取ったうえで受け取り、見られる人を担当の施術者と責任者に絞ります。システムは問診の答えで施術の可否を決めず、対面で確かめる項目に印を付けるところまでにとどめます。

整体院・接骨院・リラクゼーションサロンで予約や受付の仕組みを見直したい経営者・店長と、それを実装するエンジニアを読み手に想定しています。接骨院の療養費(保険)の請求の手続きと、施術の効果に関わる説明はこの記事の範囲に入れていません。特定のお店の事例や、予約数・所要時間の目安の数字も出てきません。

予約と問診票のWeb化は、予約の記録と問診の記録を分けて持つことから始める

予約と問診票をWeb化するとき、最初に決めるのは「どの情報をどこに保存するか」です。予約の日時や連絡先と、体の状態に関わる答えは、見る人も残す期間も違うので、最初から別の記録にしておきます。

記録 中身 見る人
お客様 名前、連絡先、生年月日、来店の回数 受付、施術者、責任者
予約 日時、メニュー、施術者、ベッドや個室、指名の有無、初診かどうか 受付、施術者、責任者
問診 気になる部位、既往歴、通院中の病気、服薬、妊娠の可能性、避けてほしい施術 担当の施術者、責任者
同意 問診の利用目的に同意した日時と、同意した文面の版 責任者

予約の記録には、問診票に答え終わったかどうか(未回答・回答済み)だけを持たせます。受付の画面では答えの中身を出さず、「問診が未回答のお客様」を並べて、来店前に声をかけるといった使い方にします。

施術者の指名は、指名する・指名しない・前回と同じ人の3通りで受ける

施術者の指名は、「指名する」「指名しない」「前回と同じ人」の3通りを予約画面で選べるようにします。3つ目を分けておくと、2回目以降のお客様が施術者の名前を覚えていなくても、同じ人を選べます。

空いている枠の出し方は、選んだ指名の仕方で変わります。

指名の仕方 空いている枠の出し方 気をつけること
指名する その施術者の出勤の予定から、入っている予約を除いた時間 施術者の休みの日は、他の人の枠を案内する
指名しない そのメニューに対応できる施術者全員の空きを合わせた時間 予約が入った時点で、担当する人を1人に決める
前回と同じ人 前回の予約の施術者で「指名する」と同じ出し方 前回の施術者が退職・異動していたら、指名しないに切り替えて知らせる

整体院やサロンでは、施術者だけでなくベッドや個室の数も枠を決めます。施術者が空いていてもベッドが埋まっていれば受けられないので、空いている枠は「施術者」と「ベッドや個室」が同時に空いている時間として求めます。メニューの時間には、施術の時間に加えて、着替えや片付けの時間を足しておきます。

施術者の性別の希望を受け付ける場合は、指名と同じ画面で絞り込みの条件として持たせます。その場合、希望に合う施術者がいない日に、どう案内するかの文面も先に決めておきます。

施術者の出勤の予定から空き枠を計算で出す考え方は、パーソナルジム向けに書いた、シフトから空き枠を出す記事で詳しく扱いました。

初診は、問診と説明の時間を足した長い枠で受ける

初めてのお客様は、問診票の内容を対面で確かめる時間と、施術の流れを説明する時間が要るため、2回目以降より長い枠で受けます。予約画面で「初めて」を選んだ人には、初診用のメニューの時間で空き枠を出します。

初めてかどうかの判定は、お客様の自己申告と、電話番号やメールアドレスでの照合を組み合わせます。

  • 予約画面で本人に選んでもらう。 「初めて」「2回目以降」を最初に聞く
  • 連絡先で照合する。 「2回目以降」を選んだのに連絡先が見つからない場合は、初診の枠で受けるか受付が確かめる
  • 長く空いた人の扱いを決める。 前回の来店から長く空いた人をもう一度初診として扱うかは、お店の決まりとして期間を設定できるようにする
  • 迷ったら長い枠に寄せる。 判定がはっきりしないときは初診の枠で受けると、当日に時間が足りなくなる事態を避けられる

初診の枠を長く取ると、空き枠が見つかりにくくなります。初診を受けられる時間帯をあらかじめ決めておく方法もありますが、どちらにするかはお店の回し方で選んでください。

問診票は予約の確定後に送り、来店前に答えてもらう

問診票は、予約が確定した後に専用のリンクで送り、来店の前日までに答えてもらう流れにします。予約のフォームの中で聞かないことで、予約の入力が短くなり、途中でやめる人を減らせます。

問診票の項目は、何のために聞くかで分けて、健康に関わる項目がどれかをはっきりさせます。

項目 例 健康に関わる情報か
来店のきっかけ 紹介、検索、通りがかり いいえ
気になる部位 体の図から選ぶ、自由に書く 内容によってはい
既往歴・通院中の病気 選択肢と自由記述 はい
服薬 飲んでいる薬の有無と名前 はい
妊娠の可能性 ある・ない・答えない はい
避けてほしい施術や部位 自由に書く 内容によってはい
施術者への希望 力の強さ、話しかけの多さ いいえ

入力の作りでは、次の点に気をつけます。

  • 途中で保存できるようにする。 スマホで答える人が多いので、途中で閉じても続きから答えられるようにする
  • 答えない選択肢を置く。 答えたくない項目に「答えない」を選べるようにし、来店時に対面で聞く
  • 自由記述は短く誘導する。 長い症状の説明は、対面の問診で聞く前提にする
  • 体の図は選びやすくする。 部位を指で押して選ぶ図は、押せる範囲を大きく取る

問診票を送る連絡には、リンクだけを入れ、答えの中身を載せません。答えた後の確認のメールやLINEにも、問診の内容は書かず、「問診票を受け付けました」とだけ知らせます。

健康に関わる回答は、要配慮個人情報として同意を取ってから受け取る

既往歴や通院中の病気といった答えは、要配慮個人情報に当たりえます。病歴、心身の機能の障害、健康診断などの結果は、個人情報保護委員会による通則編の解説で要配慮個人情報の例として並び、取得には原則として本人の事前の同意が要ると書かれています。

問診票では、健康に関わる項目の手前に、何のために使うかの説明と同意の欄を置きます。

  1. 利用目的を短く書く。 例:施術の内容を決め、施術を安全に行うために使います。ほかの目的には使いません
  2. 同意の欄を、利用規約とは分ける。 予約の規約への同意とまとめず、問診の同意として1つ置く
  3. 同意しない場合の流れを用意する。 同意しない人には、健康に関わる項目を出さず、来店時に対面で確かめると案内する
  4. 同意の記録を残す。 同意した日時と、そのとき表示した説明文の版を、問診の記録とは別に保存する

ガイドラインは、同意の取り方の例として、確認欄へのチェックやホームページ上のボタンのクリックも挙げています。どの方法でも、何に同意したのかを後から説明できるよう、表示した文面の版を残すことが大事です。

問診の内容を見られる人を、担当の施術者と責任者に絞る

問診の答えを画面で見られる人は、その予約を担当する施術者と、お店の責任者に絞ります。受付のスタッフや、別の店舗のスタッフからは見えないようにします。

役割 予約 問診の回答状況 問診の中身
受付 見る・変える 見る 見ない
担当の施術者 見る 見る 見る
担当でない施術者 見る 見る 見ない
責任者 見る・変える 見る 見る

あわせて、問診の中身を誰がいつ開いたかを記録します。担当の変更で別の施術者が見る必要が出たときは、責任者がその予約に限って見られるようにします。

個人情報保護委員会の案内では、要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい(そのおそれを含む)は、人数にかかわらず委員会への報告の対象になります。見られる人を絞ることと、聞く項目を必要なものに絞ることは、この影響を小さくすることにもつながります。CSVでの書き出しも、問診の中身は責任者だけができるようにしておきます。

システムは、問診の答えで施術してよいかを決めない

問診票の仕組みは、施術してよいかどうかを自動で決めない作りにします。仕組みの役目は、来店時に対面で確かめたほうがよい答えに印を付けて、担当の施術者に知らせるところまでです。

  • 印を付ける答えを、お店が決める。 どの回答を「対面で確かめる」とするかは、施術者の側で決めて設定する
  • お客様の画面では判定を出さない。 答えた直後に「施術できません」などと表示せず、来店時に施術者から話す
  • 案内の文面を決めておく。 施術者が医療機関の受診をすすめる場合の伝え方は、お店で事前にそろえる

予約や問診のページに、施術の効果をうたう文言を自動で入れないことも、仕組みの側で決めておきます。とくに接骨院は、広告できる内容が柔道整復師法で限られています。ページの文面は、所属する団体や専門家と確かめてから載せてください。

作る順番

既に紙の問診票や電話での予約がある場合は、いきなり全部を切り替えず、次の順で進めます。

  1. 今の紙の問診票の項目を書き出す。 項目ごとに、何に使っているか、本当に要るかを確かめる
  2. 健康に関わる項目と、利用目的の文面を決める。 同意の欄の文面もこの段階で決める
  3. 予約の枠の決まりを決める。 施術者、ベッドや個室、メニューの時間、初診の時間、指名の受け方
  4. 見られる人の表を決める。 役割ごとに、予約・回答状況・問診の中身を見られるか
  5. Web予約と問診票を、一部のメニューから始める。 電話の予約も同じ画面に受付が入れる
  6. 紙の問診票の保管と廃棄の決まりを決める。 古い紙の問診票をいつまで持つかを、お店の決まりとして書く

株式会社bundlyzeでは整体やサロンに限らず、多業種に対応する予約管理システムの開発を、企画の段階から稼働後の運用まで通して担っています。施術者とベッドの組み合わせで枠を出す作りや、問診の見られる人の絞り方を一緒に整理したいときは、予約や業務の仕組みづくりの案内ページをご覧ください。

出典

下の公的な資料は、2026-10-03に記載を読んで本文と照らし合わせました。改正で内容が動くこともあるので、問診票の項目を確定する前にもう一度開いてください。

よくある質問

問診票は、予約のフォームの中で一緒に聞いてもいいですか?

できますが、分けるほうが扱いやすくなります。予約のフォームに既往歴や服薬の欄を入れると、予約の記録と健康に関わる情報が同じ場所に入り、受付の誰でも見られる状態になりがちです。予約が確定した後に問診票の専用のリンクを送り、答えは予約とは別に保管し、閲覧できる人を限る作りをおすすめします。

問診票の答えから、施術できるかどうかを自動で判定できますか?

自動で決めない作りをおすすめします。システムの仕事は、施術者が来店時に対面で確かめたほうがよい回答に印を付けて知らせるところまでです。施術してよいかの判断は施術者が行い、必要に応じて医療機関の受診を案内します。

接骨院の保険の手続きも、同じ仕組みでできますか?

この記事では扱っていません。接骨院の療養費(いわゆる保険の取り扱い)には、施術の記録や請求の手続きに独自の決まりがあるため、予約と問診票の仕組みとは分けて、所属する団体や専門家に確かめたうえで設計してください。