フィットネス・健康

健康関連サービスのWebサイトで気をつける表現。薬機法・景品表示法・健康増進法の基本と、公開前の確認をCMSの承認の仕組みに落とす方法

ジム・整体・サプリ・健康食品のWebサイトで、薬機法・景品表示法・健康増進法がどこにかかわるかを公的な資料から整理し、公開前の確認をCMSの状態と承認、根拠資料の保存に置き換える方法をまとめます。

この記事の結論:ジム・整体・サプリ・健康食品といった健康関連サービスのWebサイトでは、売っているものによってかかわる法律が変わります。サービスや取引の条件の見せ方には景品表示法、食品の健康の効果をうたう表示には健康増進法、医薬品のような効き目をうたう表示には薬機法がかかわります。公開前の確認は、消費者庁が示す「表示の管理上の措置」の7項目をCMSの機能に置き換えると形になります。記事に「下書き・確認待ち・差し戻し・承認済み・公開中・取り下げ」の状態を持たせ、確認が要る言葉に印を付け、承認した人と根拠資料を公開した版にひも付けて残します。

読み手は、健康関連のサービスや商品を扱う会社・お店でWebサイトを更新する担当者と、そのCMSを作る制作者です。ここで書くのは、公的な資料に書かれた内容と、それを確認の仕組みに移す方法です。個々の表現が違反かどうかは判断していないので、判断のつかない表現は、載せる前に弁護士などの専門家か行政の窓口で確かめてください。特定の会社の事例や、違反の件数のような数字は出てきません。

健康関連サイトの表現には3つの法律が重なり、売っているもので顔ぶれが変わる

健康関連サービスのWebサイトの表現にかかわる主な法律は、景品表示法・健康増進法・薬機法の3つで、どれが前に出てくるかは売っているものによって変わります。最初に自社のサイトの中身を、サービス・食品・機器や化粧品などの物に分けて書き出しておくと、確認の担当や相談先を決めやすくなります。

扱うもの 景品表示法 健康増進法(第65条) 薬機法 ほかに確かめる決まり
ジムのサービス 料金、内容、成果の見せ方 食品を売るなら 物を売るなら 体験談や口コミの載せ方
整体・リラクゼーション 施術の内容、料金の見せ方 食品を売るなら 物を売るなら 国家資格の施術は資格ごとの広告の決まり
サプリ・健康食品 品質や効果の見せ方 健康の効果の表示 医薬品のような効能をうたうと問題になりうる 保健機能食品の制度
健康器具・化粧品 品質や性能の見せ方 対象外 医療機器や化粧品としての決まり 製造・販売の許可の有無

国家資格の施術には、資格ごとに広告できることを限る法律があります。たとえば、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうについては、あはき法の第7条が、施術者の氏名や業務の種類、施術所の名称や所在地、施術の日時など限られた事項以外の広告を禁じています。どの資格の施術を出すかで読む法律が変わるので、メニューごとに確認の相手を決めておきます。

景品表示法は、サービスの中身や取引の条件を実際より良く見せる表示を見る

景品表示法は、商品やサービスの中身や料金・条件を、実際より著しく良く見せる表示を禁じる法律です。健康関連のサイトでは、成果をうたう言葉、料金の条件、体験談の載せ方が、確かめる対象になりやすい部分です。

この記事で大事なのは、景品表示法が表示の中身だけでなく、表示を管理する社内の体制も求めている点です。景品表示法の第22条第1項は、事業者に不当な表示を未然に防ぐための必要な措置を求めており、消費者庁の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」が、その中身を7つの項目で示しています。後の節で、この7項目をCMSの機能に置き換えます。

成果の数字やビフォーアフターの写真を載せるときの具体的な注意は、パーソナルジムのLPの構成と表示の注意をまとめた記事で扱いました。

健康増進法は、食品の健康の効果について「何人も」の形で誇大な表示を禁じている

健康増進法の第65条第1項は、食品として売る物について、健康の保持増進の効果などを著しく事実と違う形や、著しく誤解させる形で表示することを禁じています。主語が「何人も」なので、作り手や売り手に限らず、表示の中身を決めることに関わった人も対象になりえます。

消費者庁が健康食品について出している留意事項(景品表示法と健康増進法の両方を扱う資料)は、この点を次のように説明しています。

  • 広告を載せる側も対象になりうる。 新聞社やインターネットの媒体、広告代理店なども対象になりうるが、第一に対象となるのは製造業者や販売業者だと書いている
  • 明らかにおかしい表示に関わると、措置の対象になることがある。 表示が虚偽誇大だと予見できた場合など、特別な事情がある場合
  • 商品名がなくても表示にあたることがある。 成分の効果を説明するページでも、近くに販売業者のサイトへのリンクを分かる形で置いていれば、表示にあたる例として挙げられている

3つ目は、サイトの作りに直結します。健康食品を売るお店が成分の解説記事を書き、その記事から商品ページへリンクする場合、記事も商品ページと同じ確認を通す必要があります。CMSの側では、記事の本文に商品ページへのリンクがあるかを見て、確認の流れを切り替えるようにします。

薬機法の広告の決まりは、物の効き目をうたう場面で確かめる

薬機法の広告の決まりは、医薬品・医療機器・化粧品などの広告で、虚偽や誇大な表現、承認前の物の広告などを禁じています。厚生労働省の案内では、第66条が誇大な広告を、第68条が承認を受けていない医薬品などの名称や効能の広告を禁じています。

健康関連のサイトでとくに確かめたいのは、医薬品でない物に、病気を治す・防ぐといった医薬品のような効き目を書いてしまう場面です。サプリや健康食品の説明、ジムや整体で売る器具や化粧品の説明は、サービスのページとは別に、この観点でも見る必要があります。厚生労働省の広告規制のページは、個別の相談は都道府県の薬務主管課に問い合わせるよう案内しているので、相談先としてCMSの確認の画面に書いておきます。

公開前の確認は、管理上の措置の7項目をCMSの機能に置き換えて作る

公開前の確認の仕組みは、消費者庁の管理上の措置の指針にある7項目を、CMSの機能に1つずつ当てはめていくと漏れなく組めます。指針は規模や業態に応じた措置でよいとしているので、小さなお店なら一人の担当者でも回せる形にします。

指針の項目 CMSでの置き換え
景品表示法の考え方の周知・啓発 入稿画面の横に、社内の表現の決まりへのリンクを常に出す
法令遵守の方針等の明確化 表現の決まりを1つのページにまとめ、版を付けて更新する
表示等に関する情報の確認 成果や効果に触れる記事は、根拠資料の添付がないと確認待ちに進めない
表示等に関する情報の共有 記事ごとのコメント欄で、作り手と確認する人がやりとりする
表示等管理担当者を定めること 承認できる人を役割として決め、その人だけが公開に進められる
根拠となる情報を事後的に確認するための措置 承認した版と根拠資料と承認者を、まとめて保存する
不当な表示等が明らかになった場合の対応 担当者がすぐ非公開にできるボタンと、直した経緯の記録

指針は、根拠となる情報を、その商品やサービスが一般消費者に提供されうると合理的に考えられる期間、後から確かめられるようにすることを求めています。CMSでは、記事を取り下げても承認の記録と根拠資料は消さず、残す期間を決めて管理します。

記事に6つの状態を持たせ、誰がどの状態に動かせるかを決める

承認の仕組みは、記事に「下書き・確認待ち・差し戻し・承認済み・公開中・取り下げ」の6つの状態を持たせて作ります。状態ごとに、動かせる人をはっきりさせておくと、確認を通らずに公開される抜け道がなくなります。

状態 意味 次の状態に動かせる人
下書き 書いている途中 書いた人(確認待ちへ)
確認待ち 書き終わり、確認を頼んだ 承認できる人(承認済み・差し戻しへ)
差し戻し 直してほしい点がある 書いた人(下書きへ)
承認済み 確認が終わり、公開を待っている 承認できる人(公開中へ)
公開中 サイトに出ている 承認できる人(取り下げへ)
取り下げ 公開をやめた 承認できる人(下書きへ戻して直す)

公開中の記事を直すときは、公開中の版をそのまま書き換えず、新しい版を下書きとして作って同じ流れを通します。誤字の修正だけを例外にする場合も、例外にできる範囲を表現の決まりのページに書いておきます。

確認が要りそうな言葉と要素は、入稿のときに自動で印を付ける

入稿の画面では、確認が要りそうな言葉や要素を自動で拾って印を付け、確認する人がそこから見られるようにします。印を付けるだけで、公開してよいかは人が決めます。

拾う対象は、言葉と、ページの要素の2種類に分けます。

  • 病気や体の変化に触れる言葉:治る、予防、改善、痩せる、若返る、などを社内の一覧として持つ
  • お墨付きを思わせる言葉:医師推奨、専門家も認めた、などの表現
  • 比べる言葉:No.1、最安、他社より、など根拠の資料が要る表現
  • 期限や条件を付けた料金:今だけ、先着、通常価格、など
  • 体験談やお客様の声:本文に入っていれば印を付け、載せ方の決まりを確かめる
  • 前後を比べる写真:画像に「前後比較」の属性を付けてもらい、条件の記載があるかを見る
  • 商品ページへのリンク:本文から販売のページへ張っていれば、商品ページと同じ確認に回す

言葉の一覧は、確認する人が増やしたり減らしたりできるようにし、変えた日と理由を残します。一覧に入っていない言い回しで同じことを言っている場合もあるので、印がないことを確認済みの代わりにしない、という決まりも表現の決まりのページに書いておきます。

根拠資料と承認の記録は、公開した版とひも付けて残す

承認の記録は、公開した本文の版と1対1でひも付け、後から「この文面を、誰が、何を根拠に通したか」を一度に開けるようにします。ばらばらのフォルダに保存すると、指摘を受けたときに探し出せません。

承認の記録1件ごとに、次の項目を持たせます。

項目 中身
版 公開した本文と画像の、その時点の写し
承認者 承認の役割を持つ人の名前と、承認した日時
根拠資料 試験の報告書、仕入れ先の資料、料金の決まりなどのファイル
印の付いた箇所 自動で拾った言葉や要素と、それぞれどう判断したかの一言
外部への相談 専門家や窓口に相談したかと、その要点
残す期限 その商品やサービスを売り続ける期間から決めた日付

外部のライターや制作会社、アフィリエイトの表示も同じ流れに乗せる

記事や広告を外部のライターや制作会社に頼む場合も、公開の前に同じ確認の流れを通します。管理上の措置の指針は、表示の作成を他の事業者に任せる場合に、自社の措置を理解してもらい、不当な表示にならないよう指示することを求めています。

  • 外部の書き手にも、下書きと確認待ちまでの役割を渡す。 承認と公開の役割は社内に残す
  • 表現の決まりのページを、依頼のときに渡す。 版の番号も一緒に伝える
  • アフィリエイトの表示も確認の対象にする。 健康食品の留意事項は、広告主がアフィリエイターに表示内容の決定を任せている場合などに、広告主も措置を受ける側にあたりうると書いている
  • 頼んで書いてもらった投稿は、広告と分かる形にする。 消費者庁の案内によると、令和5年10月から、広告だと伏せた表示が景品表示法の規制の対象になっており、依頼した投稿の扱いも表現の決まりに入れておく

作る順番

確認の仕組みは、表現の決まりを書くところから始め、CMSの機能は後から足していきます。

  1. サイトにある中身を書き出す。 サービス、食品、物に分け、かかわる法律と相談先を表にする
  2. 表現の決まりのページを作る。 社内で使わない言葉、根拠が要る言葉、体験談と写真の載せ方を書く
  3. 承認できる人を決める。 小さなお店なら代表者を担当者にする
  4. CMSに状態と役割を足す。 確認待ちを通らないと公開できないようにする
  5. 印を付ける言葉の一覧を入れる。 最初は短い一覧で始め、確認のたびに見直す
  6. 今公開中のページを順に確認待ちに戻す。 商品ページと、そこへリンクしている記事から始める

株式会社bundlyzeでは業種を限らず、社外のWeb責任者として戦略づくりから実行と分析までを引き受けるWEB戦略代行と、サイトの制作に取り組んでいます。記事の状態と承認の記録を持つ更新の仕組みを含めてサイトを作り直したい場合は、サイトづくりのページに進め方を載せています。

出典(2026-10-03 確認)

2026-10-03に以下の資料へ目を通し、本文の記述を確かめました。法律や指針は改正されることがあるので、社内の決まりを書く前にいま有効な版を見直してください。

よくある質問

小さなお店でも、表示を管理する担当者を決めないといけませんか?

消費者庁の管理上の措置の指針は、事業者の規模や業態に応じて必要な措置を取ればよいとしており、代表者が表示を管理している場合は代表者を担当者と定めることもできると注記しています。一人で運営しているお店でも、誰が最後に確かめて公開したかを記録に残せる形にしておくのが目安です。

サプリの商品名を書かずに成分の効果だけを紹介する記事なら、広告になりませんか?

そうとは限りません。消費者庁の健康食品の留意事項は、商品名がなくても、説明の近くに販売ページへのリンクがあるなどして特定の商品の購入に誘う事情があれば、景品表示法と健康増進法の「表示」にあたると説明しています。記事から商品ページへリンクを張る場合は、商品ページと同じ確認の流れに乗せてください。

表現に問題がないかを、CMSで自動判定できますか?

自動で判定せず、確認が要りそうな言葉や要素に印を付けるところまでにします。違反かどうかは表現と根拠の組み合わせで決まるため、最後の判断は担当者が行い、迷うものは弁護士などの専門家や、薬機法なら都道府県の薬務主管課、景品表示法なら消費者庁などの窓口に相談してください。