フィットネス・健康

パーソナルジムのトレーニング記録・食事記録をお客様と共有する仕組み。入力の手間、写真の扱い、健康情報の守り方

パーソナルジムでトレーニング記録と食事記録をお客様と共有するとき、作り手が先に決めることを順に並べます。記録ごとの入力者と頻度、食事写真の保存と位置情報の削除、病歴など要配慮個人情報の分け方、退会後の扱いまで。

この記事の結論:お客様とトレーニング記録・食事記録を共有するパーソナルジムの仕組みは、「誰が・いつ・どこまで入力するか」を記録の種類ごとに分けるところから作ります。トレーニングの内容はセッション中にトレーナーが入力し、食事はお客様が写真を1枚送るだけにして、数字の入力を求めません。食事の写真は位置情報を消して非公開の場所に置き、病歴や健康診断の結果は食事やトレーニングの記録と分けて保存し、見られる人を絞ります。共有する画面は、お客様が「前回から何が変わったか」を一目で見られることを優先します。

読み手は、パーソナルジムやセミパーソナルのスタジオを運営する方と、その記録の仕組みを作る開発者です。続く率や効果を示す数値は出していません。病歴や写真の扱いは、通則編ガイドライン(PPC=個人情報保護委員会、2026年10月3日時点の版)を読んでまとめた一般論で、個々のケースは専門家に相談してください。

パーソナルジムで共有する記録は、種類ごとに入力する人と頻度を決める

トレーニング記録と食事記録を共有する仕組みでは、最初に記録の種類を分け、それぞれ誰が入力するかを決めます。全部をお客様に入力してもらう設計にすると続かず、全部をトレーナーが入力する設計にするとセッション以外の日の様子が分かりません。

記録 入力する人 入力の頻度 お客様に見せるか 扱いの注意
トレーニングの内容(種目・重量・回数) トレーナー セッションごと 見せる 前回の内容を下書きにして直すだけにする
体重・体脂肪率など お客様またはトレーナー 週に1回など決めた日 見せる 測る条件(時間帯・機器)をそろえる
食事 お客様 食べたとき 見せる 写真1枚と区分だけにする
体調・睡眠のひと言 お客様 任意 見せる 選択肢で答えられるようにする
トレーナーのコメント トレーナー 食事の記録やセッションの後 見せる 返す時間の目安を決めておく
病歴・服薬・医師からの指示 カウンセリングで聞く 入会時と変わったとき 担当者だけが見る 他の記録と分けて保存する
トレーナーの内部メモ トレーナー 随時 見せない お客様向けのコメントと欄を分ける

表のうち、お客様に見せる記録と、担当者だけが見る記録は、画面だけでなくデータの置き場所から分けておきます。あとから「この欄だけ見せない」と画面で隠す作りにすると、出力やAPIの経由で見えてしまう抜けが出やすいからです。

トレーニング記録は、セッション中に前回の内容を直すだけにする

トレーニング記録の入力は、前回の同じメニューを下書きとして出し、トレーナーが重量と回数だけを直す形にします。セッションのあとにまとめて入力する運用にすると、次のお客様の準備と重なって入力が後回しになり、記録の抜けが増えます。

入力の画面で決めておくことは次の4つです。

  1. メニューの型:お客様ごとに「脚の日」「上半身の日」のような型を持ち、選ぶと種目が並ぶ
  2. 数字の入れ方:重量と回数は前回の値を初期値にし、増減のボタンで直せるようにする
  3. できなかった理由:痛み・疲れ・時間のように選択肢で残し、自由記述は内部メモに書く
  4. お客様向けのひと言:その日の良かった点を短く書き、セッションの終わりに一緒に見る

タブレットを床に置いて使う場面も多いので、ボタンは大きく、入力欄は少なくします。電波の届きにくい場所に器具がある店では、通信が切れても入力を手元に残し、つながったときに送る作りにしておくと、記録が消える事故を防げます。

食事記録は、写真1枚と区分だけで送れるようにする

食事記録を続けてもらうには、お客様の入力を「写真を撮って送る」の1手にまで減らします。カロリーや品目を入力させると最初の数日は送られてきても、忙しい日から途切れ、そのまま戻ってこないことが多いからです。

項目 入力のしかた
写真 カメラから直接撮る、または撮った写真を選ぶ
区分 朝・昼・夜・間食をボタンで選ぶ(時刻から自動で選んでおき、違えば直す)
ひと言 任意。「外食」「飲み会」などを選択肢から

送る入口は、お客様がふだん開いているところに置きます。お店のLINEとのトーク画面から記録のページを開けるようにする、スマホのホーム画面にWebの記録画面を置けるようにする、などです。専用アプリを入れてもらう前提にすると、入れてもらうところで止まる人が出ます。

トレーナーの側では、届いた写真を一覧で見て、短いコメントを返す画面を用意します。コメントを返す時間の目安(たとえば「その日のうちに」)は店で決め、画面には返していない写真の数を出しておきます。お客様が送った写真に返事がない状態が続くと、記録そのものが止まるからです。

コメントで答える範囲も決めておきます。食事の内容についての提案はトレーナーの仕事ですが、持病や服薬に関わる食事の制限は、医師の指示に従ってもらうよう伝え、トレーナーが判断しない線を引いておきます。

食事の写真は、位置情報を消し、期限付きのURLでだけ見せる

お客様が送る写真は、保存する前に撮影場所の位置情報を消し、外から直接は開けない場所に置きます。スマホの写真には、撮った場所の緯度・経度が埋め込まれていることがあり、自宅で撮った食事の写真から住まいが分かってしまうおそれがあるからです。

決めること 作り方
位置情報 受け取った時点で写真の付加情報(Exif)を消してから保存する
大きさ 一覧用の小さい画像と、拡大用の画像を作り、元の大きな画像は持たない
置き場所 公開のURLを持たない保存先に置き、画面には数分で切れる期限付きのURLで出す
見られる人 お客様本人と、担当のトレーナー・店の責任者
持つ期間 退会後にどれだけ残すかを決め、過ぎたら消す

体の写真(体型の変化を見る写真)は、食事の写真よりさらに慎重に扱います。顔が写っていれば本人が分かる情報で、体型の写真は本人にとって見られたくない情報です。保存する場所を食事の写真と分け、ダウンロードの操作を残すようにします。

体の写真を共有のために撮ることと、広告やサイトに使うことは、別のことです。共有のための同意とは別に、使う場所と期間を示して、掲載の同意を取ります。同じ同意の画面で両方にチェックさせる作りにはしません。

病歴や健康診断の結果は、要配慮個人情報として別の場所に置く

お客様の病歴、服薬、医師から受けている指示、健康診断の結果は、トレーニングや食事の記録とは分けて保存し、見られる人を担当者と責任者に限ります。病歴や、医師等が行った健康診断等の結果、医師等による指導・診療・調剤が行われたことなどは、通則編ガイドラインの2-3で要配慮個人情報の例に挙がっています。

要配慮個人情報を取るには、原則として、本人の同意を取得の前に得ておくことが求められます(通則編 3-3-2)。同じ箇所には、書面や口頭などで本人から適正に直接取得する場合は、本人が提供したことで同意があったと解される、という考え方も書かれています。それでも、仕組みの側では次の3つを決めておくのが安全です。

  1. 聞く項目を絞る:トレーニングの内容を決めるのに必要なこと(運動を止められているか、痛む部位、医師からの制限)だけを選択肢で聞く
  2. 何に使うかを先に示す:聞く画面の上に、トレーニングの内容を決めるために使い、担当者だけが見ることを書く
  3. 自由に送れる場所に載せない:食事の写真の送り先に、健康診断の結果の写真を送らないよう案内し、届いた場合は担当者が別の場所へ移して元を消す

ジムで測る体重や体脂肪率は、医師等が疾病の予防や早期発見のために行う検査とは場面が違いますが、お客様にとって人に知られたくない数字であることは変わりません。要配慮個人情報に当たるかどうかで扱いを分けるのではなく、お客様の体に関わる記録はすべて、見られる人を絞り、見た記録を残す作りにそろえておくと、運用で迷いません。体験の申込の段階で健康状態をどこまで聞くかは、体験の申込をLINEで受け付けるときの設計をまとめた記事でも触れています。

共有の画面は、お客様が前回からの変化を一目で見られるようにする

お客様向けの画面は、記録を全部並べるより、「前回と比べて何が変わったか」を最初に見せます。お客様が記録を見に来る理由は、続けた結果を確かめたいからで、細かい数字の一覧を見たいからではありません。

画面の上から 見せるもの
1 次のセッションの日時と、その日のメニューの型
2 前回のセッションで伸びた種目(重量・回数)
3 体重などの推移(週ごとの線。日々の上下は小さく見せる)
4 今週送った食事の写真と、トレーナーのコメント
5 トレーナーからのひと言

体重のグラフは、日々の細かな上下が大きく見えると、お客様の気持ちが折れやすくなります。週の平均の線を太く、日々の値は薄い点で出すなど、見せ方を決めておきます。お客様が自分で数字を見たくない時期もあるので、体重の欄を隠せる設定を用意しておくのも一つの手です。

データの置き場所は、お客様・記録・閲覧の記録で分ける

仕組みのデータは、お客様の情報、記録の本体、誰が見たかの記録の3つに分けて持ちます。記録の本体には、お客様に見せるものと担当者だけが見るものの区別を、列ではなくテーブル(置き場所)で持たせます。

まとまり 中身 見られる人
お客様 氏名、連絡先、担当トレーナー、契約の状態 店のスタッフ
共有する記録 トレーニング、体重など、食事の写真と区分、コメント お客様本人と担当
担当者だけの記録 病歴・服薬・医師の指示、内部メモ、体の写真 担当と責任者
閲覧の記録 誰が、いつ、どの記録を開いたか、ダウンロードしたか 責任者

担当のトレーナーが替わったときに、新しい担当が見られるようになり、前の担当が見られなくなる作りにしておきます。店舗を移った場合も同じです。個人情報保護法は、個人データの漏えいなどを防ぐための安全管理措置を求めています(通則編 3-4-2)。見られる人を絞ることと、見た記録を残すことは、その具体的な形のひとつです。

退会したお客様の記録は、渡し方と消す時期を先に決める

退会のときは、それまでの記録をお客様が持ち帰れる形で渡し、ジムに残す期間と消し方を規約に書いておきます。退会のあとで「記録を見たい」「写真を消してほしい」と頼まれてから考えると、対応が人によってばらつきます。

  • 渡すもの:トレーニングの推移と体重などの推移をまとめたPDF、または表計算で開けるファイル
  • 消すもの:食事の写真と体の写真は、決めた期間が過ぎたら消す
  • 残すもの:数字の記録を店の振り返りに使うなら、個人が分からない形にまとめてから残す
  • 同意の取り消し:広告に使う同意を取り消されたら、掲載をやめる手順を決めておく

小さく始めるための手順

記録の共有は、最初から専用の仕組みを作らず、運用の決めごとから始めます。

  1. 記録の表を決める:上の表のように、記録ごとの入力する人・頻度・見せるかを紙に書く
  2. 食事の写真だけで試す:写真と区分だけを送ってもらい、トレーナーが返事をする流れが回るかを見る
  3. トレーニングの入力を型にする:メニューの型を作り、前回の値を直すだけで入力できるかを試す
  4. 健康の情報の置き場所を分ける:カウンセリングの記録を、共有する記録と別の場所に移す
  5. お客様の画面を作る:前回からの変化を一番上に出す画面を作り、何人かのお客様に見てもらう

株式会社bundlyzeでは、お店の予約を受ける管理システムを業種を限らず企画して運用まで支えてきました。配信と応答をLINE公式アカウントにつなげる仕組みも、自前で作っています。予約と会員の情報に、トレーニングや食事の記録をつないで、お客様と共有する画面まで作りたい場合は、業務システム・アプリ開発のページから相談の窓口をご覧ください。

健康情報の扱いの出典(確認日 2026年10月3日)

  • PPC(個人情報保護委員会)の通則編ガイドライン:2-1(顔の映像も本人が分かる情報)、2-3(要配慮個人情報。病歴、健康診断等の結果、医師等による指導・診療)、3-3-2(要配慮個人情報の取得と、本人から直接取得する場合の同意の考え方)、3-4-2(安全管理措置)

よくある質問

食事記録はカロリーまで入力してもらうべきですか?

最初は写真と「朝・昼・夜・間食」の区分だけで十分です。お客様にカロリーや量の入力まで求めると、数日で送られてこなくなりがちです。数字が必要な場面は、トレーナーが写真を見てコメントするときに補います。入力の項目は、続いているのを確かめてから足していきます。

お客様から健康診断の結果を写真で送ってもらってもいいですか?

健康診断の結果は、法律で「要配慮個人情報」と呼ばれる区分に入ります。本人から直接受け取る場合は、本人が提供したことで取得の同意があったと解されるとガイドラインにありますが、何に使うかを先に伝え、食事の写真とは別の場所に保存して、見られる人を担当者と責任者に絞ります。トレーニングに必要な項目だけを聞く形にしておくのが安全です。

退会したお客様の記録や写真はどうすればいいですか?

退会のときに、記録を本人が持ち帰れる形(一覧のPDFやCSVなど)で渡せるようにし、ジム側で持つ期間を規約に書いておきます。期間が過ぎた写真は消し、数字の記録は個人が分からない形にして残すか消すかを、あらかじめ決めておきます。