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ジムの物販(プロテイン・サプリ・ウェア)を店頭とオンラインで売るとき、在庫と会員価格を一元管理する設計

ジムの店頭物販とオンライン販売で、在庫と会員価格を一元管理するときの設計を、作り手の立場から順に説明します。商品の単位の決め方、入出庫の台帳、売り越しを防ぐ引当、会員価格の判定、消費税率の持ち方、通販の表示まで。

この記事の結論:ジムの物販を店頭とオンラインの両方で扱うなら、在庫は「入荷・販売・取り置き・移動・廃棄」の動きを1つの台帳に記録し、その合計を在庫として店頭とオンラインで共有します。会員価格は商品ごとに値段を2つ並べて持つのではなく、「会計の時点の会員の状態」で判定するルールとして1か所に書きます。消費税率は商品の区分と適用開始日を持つ表で管理し、プログラムに数字を書き込まないようにします。オンラインで売るなら、特定商取引法の表示と返品の決まりを、在庫の仕組みと同じ時期に整えます。

読み手は、パーソナルジムや総合型のクラブで物販を扱う方と、在庫や会計の仕組みを作る開発者です。売上や利益率の目安は載せていません。税と表示のルールは、2026年10月3日現在で国税庁・消費者庁が出している資料に沿った一般論です。自店での扱いは税理士などの専門家と決めてください。

ジムの物販で在庫と会員価格がずれるのは、売る場所が3つあるから

ジムの物販で在庫や会員価格が合わなくなる原因は、売る場所が店頭のレジ、オンライン、トレーナーの手渡しの3つに分かれ、それぞれ別の記録で動いていることです。まず、売る場所ごとに何が起きるかを並べます。

売る場所 よくある売り方 ずれやすいところ
店頭のレジ 受付でプロテインやウェアを売る レジの在庫と棚の数が合わない
オンライン 自社のネットショップや、外部の通販のサービス 店頭で売れた分がオンラインに反映されず、売り越す
トレーナーの手渡し セッションの後にサプリを勧め、その場で渡す 会計の記録が後回しになり、在庫だけ減る
店舗どうしの移動 足りない店舗へ在庫を回す 移動中の数がどちらの店舗にも数えられない

この4つの場面が同じ台帳に動きを書けるようにすると、在庫の数が1つにそろいます。店頭とオンラインで別々に在庫の数を持ち、夜に数を写す運用は、売れた時刻と写す時刻の間に売り越しが起きます。

商品は、味・サイズ・色ごとに1つの単位として登録する

在庫を一元管理する前に、商品を数える単位をそろえます。プロテインなら味と容量の組み合わせ、ウェアならサイズと色の組み合わせごとに1つの商品番号を付け、在庫はその番号で数えます。

商品の種類 1つの単位にする組み合わせ 一緒に持つ情報
プロテイン 味 × 容量 賞味期限、入荷のまとまり(ロット)
サプリメント 種類 × 粒数 賞味期限、医薬品・医薬部外品に当たらないことの確認
ウェア 型 × サイズ × 色 季節、取り寄せの可否
店内で出すドリンク 種類 × サイズ 店内で飲むか持ち帰るか
小物(シェイカー、ベルトなど) 型 × 色 なし

プロテインやサプリには賞味期限があるので、入荷のまとまりごとに期限を持ち、古いものから売る(先入れ先出し)ようにします。期限の近いものを一覧に出し、期限が過ぎたものは廃棄として台帳に記録します。在庫の数だけを持っていると、期限切れの商品がいつのまにか棚に残ります。

在庫は、入出庫の動きを1つの台帳に書き、合計で数える

在庫の数そのものを書き換えるのではなく、「何が・いつ・どこで・いくつ増えたか減ったか」を台帳に1行ずつ書き、その合計を在庫とします。数を上書きする作りだと、店頭とオンラインが同時に売ったときにどちらかの減りが消えたり、数が合わないときに原因をたどれなかったりします。

動きの種類 増減 書き込むところ
入荷 増える 仕入れの受け取り
販売 減る 店頭のレジ、オンラインの注文の確定、トレーナーの手渡し
取り置き 売れる数から外す オンラインの注文を受けたとき(支払いの前)
取り置きの解除 売れる数に戻す 支払いがされなかった、注文が取り消された
返品 増える(売り物に戻せる場合) 返品を受けたとき
店舗間の移動 送り元で減り、届いた店舗で増える 送ったときと受け取ったとき
廃棄・試供 減る 期限切れ、破損、試飲用に開けたとき
棚卸しの差 増減 実際に数えた数との差

在庫には2つの数があります。台帳の合計である「手元にある数」と、そこから取り置き分を引いた「売れる数」です。オンラインの画面に出すのは「売れる数」で、店頭の棚卸しで照らし合わせるのは「手元にある数」です。

同時に売れたときのために、販売を記録するときは、売れる数が足りているかを確かめる処理と、台帳に書き込む処理を一続きの処理(トランザクション)にして、同じ商品の書き込みが重ならないようにします。外部の通販のサービスを使う場合は、そのサービスの在庫の数を台帳の「売れる数」に合わせて送り直す作りにし、どちらを正にするかを混ぜないようにします。

オンラインに出す数は、店頭で売る分の余裕を差し引く

オンラインに出す在庫は、台帳の売れる数から、店頭で売るための余裕の数を差し引いた数にします。店頭で売れてから台帳に書き込まれるまでのわずかな時間に、オンラインで同じ最後の1個が売れることを防ぐためです。

  • 余裕の数は商品ごとに決める:よく売れる味は多めに、取り寄せのできるウェアは少なめに
  • 残りが少ないときはオンラインを止める:売れる数が余裕の数を下回ったら、オンラインは「在庫なし」か「取り寄せ」に切り替える
  • 取り置きの期限を決める:支払いを待つ注文の取り置きは、期限が過ぎたら自動で解除する

余裕の数は最初から正しい値が分かるものではありません。売り越しや「店頭にあるのにオンラインでは売り切れ」が起きた回数を見て、商品ごとに直していきます。

会員価格は、会計の時点の会員の状態で判定する

会員価格は、商品ごとに「一般の値段」と「会員の値段」を手で入力して並べるのではなく、会計の時点でその人が会員かどうかを判定し、決めた割引のルールを当てて出します。会員の状態は会員管理の側が正なので、物販の側で別に会員の一覧を持つと、退会した人に会員価格を出すずれが起きます。

会員の状態 会員価格にするか(決め方の例)
在籍中 する
休会中 店の方針で決める(休会中も買いに来る人が多いならする)
退会の申し出済み・最終月 最終月の末日まではする、など日付で決める
退会後 しない
体験のみの人 しない、または体験当日だけする

店頭では、会員証やアプリのQRコードを読み取って会員を特定し、その場で状態を確かめます。オンラインでは、ログインした人の会員の状態を、注文を確定する時点でもう一度確かめます。カートに入れた時点で判定した値段のまま確定させると、その間に退会した人にも会員価格が付きます。

月会費を継続決済にしている場合は、休会や退会の日付を決済の側でどう持つかが、会員価格の判定にそのまま効きます。休会と退会の持ち方は、月会費の継続決済で決済失敗・休会・退会を設計する記事でまとめています。

「会員価格」と一般の値段を並べて見せるときは、表示の決まりを確かめる

会員価格の安さを伝えるために一般の値段を並べて見せる場合は、消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」を確かめます。この考え方の第4の5は、他の顧客向けの販売価格を比べる相手にする二重価格表示を取り上げ、誰でも簡単に会員になれて、非会員の値段で買う人がほとんどいないのに、その値段を非会員価格として比べる相手に使うことを、不当表示に当たるおそれのある例に挙げています。

ジムの会員は月会費を払って入るものですが、オンラインショップで「無料の会員登録をすれば会員価格」という作りにすると、上の例に近づきます。ジムの会員と、オンラインショップに登録しただけの人を、仕組みの上で別の区分にしておくと、表示を考えるときに混ざりません。表示が適法かどうかの判断は、この記事ではしていません。

消費税率は、商品の区分と適用開始日を持つ表で管理する

物販の消費税率は、プログラムの中に8%や10%と書き込まず、「商品の区分」と「いつから何%か」を持つ表から引くようにします。同じ店の中でも、売る物と売り方で税率が分かれ、税率そのものも変わることがあるからです。

区分 税率の考え方 確かめたこと
プロテイン・サプリメント(持ち帰り・配送) 医薬品・医薬部外品に当たらない健康食品は、軽減税率の対象 国税庁 軽減税率Q&A(個別事例編)
医薬部外品に当たる商品 食品に当たらず、標準税率 同上
店内で座って飲めるようにして出すドリンク 飲食設備のある場所で飲食させる提供は、外食として標準税率になりうる 同上(外食の範囲)
ウェア・小物 標準税率 ―

さらに、2026年9月に国税庁が公開したQ&Aでは、令和8年9月15日に閣議決定された大綱の内容として、令和9年4月1日から2年間、飲食料品の税率を1%に引き下げる案が説明されています。法案が国会で成立した場合の内容とされており、2026年10月3日時点では決まったものではありません。同じQ&Aには、一定の定期供給の契約や通信販売では従来の税率が続く経過的な扱いや、総額表示の特例も書かれています。

こうした変更に備えて、税率の表は次の形で持ちます。

列 例
税の区分 飲食料品、標準
適用開始日 税率が変わる日
税率 その日からの税率

会計のときは、売った日(オンラインなら、どの日を売上の日とするかを決めたうえでその日)に当たる行を引きます。レシートや請求書には税率ごとの合計と税額を出す必要があるため、明細の1行ごとに、そのとき使った税率を保存しておきます。あとから表を直しても、過去の会計の税率は変わらないようにするためです。ジムが登録事業者なら、店頭のレシートは適格簡易請求書として出せるか(小売業など不特定多数に売る業種が対象)も、税理士と一緒に確かめておきます。

オンラインで売るなら、特定商取引法の表示と返品の決まりを先に整える

ネットショップで物販をするなら、在庫の仕組みと同じ時期に、特定商取引法の通信販売の表示を整えます。消費者庁の特定商取引法ガイドは、通信販売の広告に、送料を含む販売価格、代金の支払いの時期と方法、引き渡しの時期、申込みの撤回や解除に関すること、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示するよう求めており、返品の特約がある場合はその内容も含めるとしています。

ジムの物販で決めること 書く場所
開封したプロテインやサプリの返品を受けるか 返品の特約、商品ページ、注文を確定する画面
ウェアのサイズ違いの交換を受けるか、期限と送料の負担 同上
店頭での受け取りを選べるか、受け取りの期限 商品ページ、注文の確認のメール
定期的に届ける販売(定期便)にするか 注文を確定する画面に、回数・期間・総額・解約の方法

定期便のように続けて買ってもらう形にする場合は、申込みの最後の画面で分量や支払いの時期、申込みの撤回や解除のことを分かるように示す決まり(特定商取引法第12条の6)があり、消費者庁がガイドラインを出しています。月会費と同じように継続して代金を受け取る形になるので、解約の方法を申込みの画面に書くところまで、仕組みの仕様に入れておきます。

小さく始めるための手順

物販の一元管理は、レジやネットショップを入れ替える前に、商品の単位と台帳の形を決めるところから始めます。

  1. 商品の単位をそろえる:味・容量・サイズ・色ごとに商品番号を付け、表にする
  2. 動きの種類を決める:入荷・販売・取り置き・移動・廃棄・棚卸しの差を、書き込む場面と一緒に決める
  3. トレーナーの手渡しを記録に乗せる:その場でスマホから販売を記録できるようにする
  4. 会員価格のルールを1か所に書く:会員の状態ごとに会員価格にするかを決め、会員管理の状態を参照する
  5. 税率の表を作る:商品の区分と適用開始日で税率を引く形にし、明細に税率を残す
  6. オンラインに出す数を決める:余裕の数を商品ごとに決め、売り越しの回数を見て直す

株式会社bundlyzeでは、在庫や会員の情報を扱う業務システムを、要件の定義に始まり保守と運用まで請け負っており、業種を選ばない予約管理システムを一から企画して運用に乗せた経験もあります。会員管理とつながった物販の台帳や、店頭とオンラインの在庫を1つにする仕組みを検討している場合は、業務システム開発のサービス案内をご覧ください。

税と表示について確かめた資料(確認は2026年10月3日)

よくある質問

店頭の在庫とオンラインショップの在庫は、どちらを正にすればいいですか?

どちらか一方の画面を正にするより、入荷・販売・移動・廃棄をすべて1つの台帳に記録し、その合計を在庫とする作りをおすすめします。店頭のレジもオンラインの注文も、その台帳に「動き」を書き込みます。オンラインに出す数は、台帳の在庫から店頭で売る分の余裕を差し引いた数にしておくと、売り越しが起きにくくなります。

会員価格は、退会した人や休会中の人にも適用していいですか?

店の方針で決めてかまいませんが、仕組みでは「会計の時点の会員の状態」で判定し、どの状態なら会員価格かを1か所に書いておきます。オンラインでは、注文を確定する時点で状態を確かめ直します。休会中を会員価格にするかどうかは、月会費の休会の扱いと合わせて決めると、説明が食い違いません。

プロテインの消費税率は8%でいいですか?

国税庁の軽減税率Q&A(個別事例編)では、医薬品・医薬部外品に当たらない健康食品などは「食品」として軽減税率の対象とされており(問24)、プロテインやサプリメントも医薬品等に当たらなければ同じ扱いになります。ただし、ジムの中で座って飲めるようにして提供する場合は外食に当たることがあり、ウェアは標準税率です。また、令和9年度と10年度に飲食料品の税率を引き下げる案が示されているため、税率は商品の区分と適用開始日を持つ表で管理し、最終的な判断は税理士に確かめてください。