ブライダル

結婚式場のフェア特典・キャンペーンの見せ方と景品表示法。来館特典・成約特典・抽選の上限と、「今だけ」「先着」「最大」の書き方

ブライダルフェアの来館特典・成約特典・抽選プレゼントを、景品表示法の景品規制(総付・懸賞の上限)と表示の決まりに照らして整理します。「今だけ」「先着◯組」「最大◯万円分」の書き方、特典台帳と公開前のチェックリスト付き。

この記事の結論:フェアで出す来館特典や成約特典は、まず「景品」「値引」「見本(試食など)」のどれに当たりそうかで分けてから、上限と表示を確かめます。来館した全員に渡すギフトのような景品は総付景品の上限(取引価額の10分の2、1,000円未満の取引なら200円)、抽選で当たる景品は懸賞の上限(最高額と総額)にかかり、同じ取引に付く特典は合算して数えます。「プラン料金から◯万円引き」のような値引は景品から外れることが多い一方で、表示が実際より有利に見えれば有利誤認の問題になります。「今だけ」「先着◯組」「最大◯万円分」は、期限・数・条件を同じ画面に書き、書いたとおりに締め切る運用まで決めてから載せます。

この記事は、結婚式場・ホテルの婚礼部門で、フェアの企画やサイト・広告の文言を担当する方と、式場サイトを作る制作の方に向けて書いています。根拠は消費者庁が公開している告示・運用基準・ガイドラインで、ここでは条文や運用基準の読み方と、サイトに落とすときの段取りを整理しています。個々の特典の適否を決めるための記事ではない点にご注意ください。企画ごとの判断は、消費者庁や都道府県の景品表示法の相談窓口、または弁護士に相談してください。

フェア特典は「景品」「値引」「見本」のどれに当たるかで、確かめる決まりが変わる

特典を企画したら、最初に「景品類に当たりそうか」を分けます。景品類なら金額の上限がかかり、値引や見本に当たるなら上限からは外れても、表示の決まりは残るからです。

消費者庁は、景品表示法の「景品類」を、顧客を誘引する手段として、事業者が自分の商品・サービスの取引に付随して提供する、物品・金銭その他の経済上の利益、と説明しています。運用基準では、取引を条件にしない場合でも、サービス業者が自分の店舗に来た人に経済上の利益を提供する場合は「取引に附随」する提供に当たる、とされています。フェアに来館した人へのギフトは、この形に近いと考えておくのが安全です。

フェアでよく見る特典を、運用基準の言葉に当てはめたのが下の表です。どれに当たるかは企画の中身で変わるため、表は「確かめる入口」として使ってください。

よくある特典 運用基準で近い考え方 景品の上限 表示で確かめること
来館した全員へのギフト 店舗への入店者への提供(取引に附随) 総付景品の上限がかかる前提で確かめる 対象の条件(予約経由のみか、組単位か)
フェアでの婚礼料理の試食 見本その他宣伝用のサービス(試食・試用で内容を知らせるもの) 適当な限度のものは、総付の上限の適用外 試食であることが分かる表示
成約したらプラン料金から割引 支払う対価の減額は、原則として値引 値引なら景品類に当たらない 割引の対象・条件・期間、比べる価格
成約したら衣装や装花のグレードアップ無料 「○○無料」のように景品と認識される出し方は取引に附随 景品類に当たる可能性を前提に確かめる 何が、どの範囲で無料か
割引かギフトかを選べる成約特典 値引と景品の提供を同じ企画で併せて行う場合は値引に当たらない 景品類として確かめる 選べる中身と、それぞれの条件
アンケートに答えた人から抽選でプレゼント くじなど偶然で決める方法は懸賞 懸賞の上限がかかる 当選者数、抽選の時期、発表の方法
先着◯組へのプレゼント 先着順は懸賞に当たらない 総付景品の上限などがかかることがある 数と、数に達したら終わること

いちばん迷いやすいのは、成約特典の「グレードアップ無料」です。運用基準は、二つ以上の商品やサービスを組み合わせた販売でも、「○○プレゼント」「○○無料」のように景品と受け取られる出し方をする場合は取引に附随する提供に当たる、としています。同じ中身でも、プランに最初から含めて料金を示すのか、成約の特典として「無料」とうたうのかで扱いが変わり得るので、出し方を決める段階で確かめます。

総付景品の上限は、取引価額の10分の2(1,000円未満は200円)

懸賞によらず、条件に合う人全員に渡す景品(総付景品)は、取引価額の10分の2が上限です。取引価額が1,000円未満のときは200円までです。

取引価額 景品の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2

フェアの来館特典で難しいのは、この「取引価額」をいくらとみるかです。運用基準は、購入を条件とせずに店舗への入店者に景品を渡す場合の取引価額を、次のように定めています。

  • 原則は100円
  • その店舗で通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められるときは、その最低のものを取引価額にできる
  • 特定の種類の商品やサービスについてダイレクトメールを送り、それに応じて来た人に渡すなど、対象を特定の商品・サービスに限っていると認められるときは、その商品・サービスの価額を取引価額として扱う

式場で「通常行われる取引の価額のうち最低のもの」が何に当たるのか、婚礼の申込み以外に会食や撮影などの取引がある場合にどう考えるのかは、式場ごとの事情で変わります。ここは推測で金額を決めず、企画書に「取引価額をいくらとみたか、その理由」を書いて、相談窓口や専門家に確かめてから実施します。

もう一つ見落としやすいのが、合算です。運用基準は、同じ取引に付随して二つ以上の景品を提供する場合、同じ事業者なら別々の企画でも合算する、としています。フェアでは「来館特典」「アンケート回答のお礼」「当日予約の特典」のように、担当者ごとに特典が足されていくことがあります。上限は特典1つずつではなく、同じ取引に付くものの合計で見ると決めておきます。

抽選の特典は懸賞の上限、先着順は懸賞に当たらない

抽選など偶然で当たる人を決める特典は「懸賞」で、景品1つの最高額と、景品の総額の両方に上限があります。来館や申込みの先着順で決める特典は懸賞に当たりません。

種類 取引価額 最高額 総額
一般懸賞 5,000円未満 取引価額の20倍 懸賞に係る売上予定総額の2%
一般懸賞 5,000円以上 10万円 懸賞に係る売上予定総額の2%
共同懸賞(地域や商店街の事業者の相当多数が共同で行うものなど) 問わない 30万円 懸賞に係る売上予定総額の3%

懸賞の運用基準は、くじのほか、クイズの正誤やコンテストの優劣で決める方法も懸賞に含めています。「フォトコンテストの入賞者に宿泊券」のような企画も、この上限の対象として考えます。総額の上限は売上予定総額との比で決まるので、懸賞を企画するときは、対象になる取引の売上の見込みを企画書に残しておきます。

先着順は懸賞ではありませんが、上限がなくなるわけではありません。運用基準は、先着順で決める提供は総付景品の告示など別の規制を受けることがある、としています。先着の特典も、総付景品と同じ表で確かめます。

「今だけ」「期間限定」は、その期限で本当に終える運用とセットで書く

「今だけ」「今月の成約まで」と書くなら、その期限で特典を終え、期限の後は表示から消します。書いた期限を過ぎても同じ特典を続けていると、取引条件が実際より有利に見える表示になるおそれがあるからです。

景品表示法は、価格その他の取引条件について、実際のものより著しく有利だと一般消費者に誤認される表示を禁止しており、これを有利誤認表示と呼んでいます。消費者庁は、故意でなく誤って表示した場合も規制の対象になり得る、と説明しています。期限付きの特典で問題になりやすいのは、文言そのものより、運用とのずれです。

よくあるずれ 起きる理由 先に決めておくこと
「今月末まで」の特典が、翌月も同じ内容で載っている 期限の後の扱いを誰も決めていない 期限の翌日に何を表示するか(終了の表示か、別の特典か)
期限を毎月延ばしている 来月も同じ特典を出すと決まっているのに「今だけ」と書いている 続ける特典なら期限をうたわない
サイトは終わったのに、広告や SNS に残っている 載せた場所の一覧がない 特典ごとに掲載先を台帳に書く
「通常価格」と並べて安さを見せているが、通常価格で売った実績が少ない 比べる価格の根拠を残していない 比べる価格の出どころを台帳に書く

比べる価格を出す二重価格の表示には、消費者庁の価格表示ガイドラインがあります。過去の価格と比べるなら、直近のある程度長い期間、本当にその価格で販売していたか、将来の価格と比べるなら、その価格で販売することが確かかどうかが、考え方の軸になっています。「◯月からプラン料金が上がります。今のうちに」という見せ方は、将来の価格との比較に当たり得るので、値上げが決まっている根拠を残しておきます。

「先着◯組」「限定◯組」は、数と対象を書き、その数で締め切る

数を限った特典は、何組か、どのフェアの、どの条件の人が対象かを、特典の文字のすぐ近くに書きます。そして、書いた数に達したら受付を締め切り、表示を消します。

消費者庁の「おとり広告に関する表示」の告示は、供給量が著しく限られているのにその内容を明りょうに書いていない表示や、供給期間・相手方・一人あたりの量が限られているのにその内容を明りょうに書いていない表示を、不当表示としています。運用基準では、数量が限られていることを書くだけでは足りず、実際の数量を明りょうに書く必要があるとされています。さらに、限定していることで取引条件が有利だと強調しながら、実際には限定量を超えて取引に応じる場合は、有利誤認などに当たるおそれがあるとも書かれています。

フェアのページに置くときは、次の形にそろえます。

【先着◯組】◯月◯日(◯)開催「◯◯フェア」にご予約・ご来館の方
特典:◯◯
対象:Webからご予約のうえ、当日ご来館いただいた方(1組につき1回)
◯組に達した時点で終了し、このページの表示を「受付終了」に切り替えます

複数の日程や会場で同じ特典を出す場合は、どの日程に何組かを分けて書きます。運用基準は、複数の店舗で販売する広告では、原則として店舗ごとの数量を明記する必要がある、としています。会場が複数あるホテルや、系列の式場で共通のキャンペーンを出すときに当てはまる考え方です。

「最大◯万円分」「総額◯万円相当」は、内訳と条件を同じ画面に置く

「最大」「総額」で大きな数字を見せるなら、その数字になる条件と内訳を、同じ画面の中に書きます。条件を満たす人が一部なのに、多くの人が最大の額を受けられるように見える表示は、有利誤認に当たらないかを点検し直します。

価格表示ガイドラインには、最大の割引率が一部の商品にしか適用されないのに、最大の率だけを大きく強調して、多くの商品に適用されるかのように見せる表示を、不当表示に当たるおそれがある例として挙げた箇所があります。小売の例ですが、成約特典の「最大◯万円分」にもそのまま当てはまる考え方です。

書く場所 書くこと
大きな数字のすぐ下 最大の額になる条件(人数、日取り、プラン、成約の期限)
内訳の表 特典ごとの中身と金額の考え方(「相当」と書くなら、何の価格に相当するか)
同じ画面の中 対象外になる条件、他の特典と併用できるか
スマホの表示 条件が別の画面や、たたまれた中に隠れていないか

「◯万円相当」の「相当」は、何の価格をもとにしているかを残しておきます。式場の通常のオプション価格をもとにするなら、その価格で実際に提供していることが、表示の根拠になります。

特典台帳を1つ作り、ページや広告の文言を台帳から出す

特典は、企画書やチャットではなく、1つの特典台帳で管理します。上限の確認、期限の終了、掲載先の削除までを、同じ行で追えるようにするためです。

次の列を持たせると、ここまでの確認がそのまま記録になります。

列 書く内容
特典ID・名前 社内で呼ぶ名前と、表示する文言
種類 総付景品/懸賞/値引/見本(試食など)/判断待ち
対象 来館・成約・アンケート回答・先着など、渡す条件
取引価額の考え方 いくらとみたか、その理由、確認した相手と日付
景品の価額 1組あたりの額と、その出し方(仕入れ値ではなく、受け取る人から見た通常の価格)
同じ取引に付く他の特典 合算の対象になる特典ID
数量・期限 先着の数、実施期間、締め切りの方法
比べる価格の根拠 「通常価格」「相当」の出どころ
掲載先 公式サイトのページ、比較サイト、SNS、広告、店頭のPOP
承認 企画・表示の確認者と日付
終了処理 終了の日、各掲載先から消した日と担当

景品の価額の算定については、消費者庁が「景品類の価額の算定基準」を公開しています。台帳の「景品の価額」の列は、この基準に沿って書きます。

CMS で特典を管理している式場なら、台帳の列をそのまま特典の入力欄にして、一覧・詳細・予約フォームの表示を同じデータから出す作りにすると、表示の場所ごとに条件が抜ける事故を防げます。CMS 側の作り方は、ブライダルフェアの情報をCMSで1か所から更新する設計にまとめています。プランの料金や割引の見せ方は、結婚式場の見積もりとプランの比較を見せるページで扱っています。

特典を載せる前のチェックリスト

特典を載せる前に、次の項目を台帳と実際の画面の両方で確かめます。スマホの画面で、条件が特典の文字と同じ画面に入っているかは、必ず実機で見ます。

  • 特典の種類(総付景品・懸賞・値引・見本)を台帳に書いた。判断がつかないものは「判断待ち」にして載せていない
  • 総付景品なら、取引価額の考え方と、その10分の2(1,000円未満なら200円)に収まることを確かめた
  • 同じ取引に付く特典を合算しても、上限に収まる
  • 抽選・クイズ・コンテストで決めるものは、懸賞の最高額と総額(売上予定総額の2%)に収まる
  • 「今だけ」「期間限定」は、期限の後に終える運用と、終了の日の担当が決まっている
  • 「先着」「限定」は、数・対象・日程を特典の文字の近くに書き、数に達したら締め切る仕組みがある
  • 「最大」「総額」「相当」は、条件と内訳と、もとにした価格が同じ画面にある
  • 「通常価格」と比べるなら、その価格の根拠を残している
  • 公式サイト・比較サイト・SNS・広告・店頭の掲載先を台帳に書き、終了の日にすべて消す段取りがある
  • 判断に迷う特典は、消費者庁や都道府県の相談窓口、専門家に確かめた記録がある

判断に迷う特典は、企画の段階で相談先に確かめる

特典が景品に当たるか、取引価額をいくらとみるかは、企画の中身によって答えが変わります。迷うものは、ページを作る前の企画の段階で、消費者庁の景品表示法に関する相談窓口や、都道府県の担当課、弁護士などの専門家に確かめます。

相談するときは、特典台帳の行をそのまま見せられるようにしておくと、話が早く進みます。対象の条件、渡すものと価額の出し方、同じ取引に付く他の特典、表示の文言と置く場所がそろっていれば、相手も判断の材料を持てます。

特典の見せ方は、予約や来館の数字とあわせて見ると判断しやすくなります。なお株式会社bundlyzeではブライダルの事業者に向けて、外部からWeb担当の責任を負う形で、戦略の立案から数字の分析まで一手に担当する「WEB戦略代行」に取り組んでいます。詳細はWEB戦略代行の紹介ページで確認できます。

出典

確認日:2026-10-03(ページと PDF の本文を読んで照合)。告示や運用基準は改正されることがあるので、企画のたびに最新の版に当たってください。

よくある質問

フェアに来館した人全員に渡すギフトにも、金額の上限はありますか?

景品類に当たる場合は、総付景品の上限(取引価額の10分の2、取引価額が1,000円未満なら200円)がかかります。購入を条件とせず入店者に渡す場合の取引価額は、消費者庁の運用基準で「原則として100円」とされ、その店舗で通常行われる取引の最低額が100円を超えるときはその額を使える、と定められています。式場の場合に何を「通常行われる取引の最低額」とみるかは個別の判断になるため、企画の段階で消費者庁の相談窓口や専門家に確かめてください。

成約特典の「プラン料金から◯万円引き」も景品になりますか?

取引の相手方に、取引通念上妥当な基準で支払う対価を減らすことは、原則として「値引」と認められる経済上の利益に当たり、景品類から外れると運用基準に書かれています。ただし、割引と品物のどちらかを選ばせる企画や、割り引いた分の使い道を限る企画は値引に当たらないとされています。値引でも、表示が実際より有利に見えれば有利誤認の問題になるので、条件の書き方は別に確かめます。

「先着3組限定」と書いて、4組目以降の申込みにも同じ特典を付けてもいいですか?

おすすめしません。消費者庁の「おとり広告」の運用基準には、供給量が限られていることで取引条件が有利だと強調しておきながら、実際には限定量を超えて取引に応じる場合、有利誤認などに当たるおそれがあると書かれています。限定を書くなら、その数で締め切る運用と、締め切ったら表示を消す仕組みをセットにします。

抽選でプレゼントが当たる企画と、先着順の企画では、上限の考え方は同じですか?

違います。抽選のように偶然で当たる人や景品を決める方法は「懸賞」で、最高額と総額の上限があります。来店や申込みの先着順で決めるのは懸賞に当たらないと懸賞の運用基準に書かれており、その場合は総付景品の上限など、別の告示の規制を受けることがあります。